2010 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ酸化物の表面プロトン伝導を利用した電解質の開発と燃料電池への応用
Project/Area Number |
22760692
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
酒井 孝明 九州大学, 稲盛フロンティア研究センター, 特任助教 (20545131)
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Keywords | ナノ酸化物 / プロトン伝導体 / 燃料電池 / ビーズミル / 表面プロトニクス |
Research Abstract |
電極反応の円滑さ、部材の熱耐久性および電池の機動性の観点から、200℃前後の中温域で作動する燃料電池が求められているが、現在のところ、適する電解質材料が見あたらない。本申請では、新規"表面プロトン伝導"性材料である酸修飾ナノ酸化物に遊星型ビーズミリングを適用し、さらなるナノサイズ化を図ることで中温域でも十分なプロトン伝導性を持つ電解質を開発し、燃料電池の中温作動化を達成することを目的とする。 22年度はまず実際に遊星型ビーズミリング法を用いて酸修飾ナノ酸化物をよりナノサイズに微小化することを検討した。硫酸修飾ナノチタニアを用いて、エタノールを溶媒とし、0.05mmΦの極小ジルコニアビーズで、回転速度800rpm、7時間粉砕で試験を実施したところ、BaZrO_3系酸化物の場合とは異なり、半透明で分散性の良いミリングスラリーが得られず、やや白色で沈降の起るスラリーが得られた。従って、大部分の粒子が初期ナノ粒子の凝集体のまま解砕されずにマイクロメーターオーダーの粒径で存在していたと考えられる。しかしながら、得られたミリング液を10000rpm×1時間で超遠心分離したところ、上澄み液である半透明液中に1~2nm程度のナノ粒子が存在することが動的光散乱(DLS)測定で観測された。これは初期ナノ粒子(約10nm)の粒径よりも十分に小さい値である。よって、量が少ないものの粉砕自体は可能であるという結果が得られた。今後ビーズ型、ミリング時間、溶媒およびミリング速度などのミリング条件の最適化を図ることで、さらなる粉砕量の増加が見込める可能性が考えられる。
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