2011 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ酸化物の表面プロトン伝導を利用した電解質の開発と燃料電池への応用
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22760692
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
酒井 孝明 九州大学, 稲盛フロンティア研究センター, 特任助教 (20545131)
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Keywords | ナノ酸化物 / プロトン伝導体 / 燃料電池 / 表面プロトニクス / ビーズミル |
Research Abstract |
電極反応の円滑さ、部材の熱耐久性および電池の機動性の観点から、200℃前後の中温域で作動する燃料電池が求められているが、現在のところ、適する電解質材料が見あたらない。本申請では、新規"表面プロトン伝導"性材料である酸修飾ナノ酸化物に遊星型ビーズミリングを適用し、さらなるナノサイズ化を図ることで中温域でも十分なプロトン伝導性を持つ電解質を開発し、燃料電池の中温作動化を達成することを日的とする。 平成23年度においては、実際に遊星型ビーズミリング法により、エタノール溶媒中にて800rpm×7時間で粉砕した含水酸化チタニア(硫酸修飾チタニア)を用いて電解質膜を形成し、燃料電池セルの構築を行った。粉砕した含水酸化チタニアのみではガスタイトな試料が得られなかったため、実際にはNafion系の有機物と混練し、有機・無機コンポジット化してから電解質材として使用した。それに白金坦持カーボン電極を取り付け、アノードに水素、カソードに酸素を流し(17℃加湿しながら)、燃料電池発電試験を実施した。その結果、室温付近に置いて約700mV程度の起電力が観測された。しかしながら、完全にガスタイトであるのなら、理論通りの起電力(約1100mV程度)が得られるはずである。このことより、作成された電解質膜がまだ完全に緻密では無いことが示唆された。今後200℃の温度域で燃料電池発電を実施するためには混合物、混合比および混合手法のさらなる検討が必要であると考えられる。また、実際にこの状態のまま室温付近で電流印加を実施した。その結果約4mA/cm^2までの電流印加に成功した。インピーダンス測定ならびにカレントインタラプション測定より電解質抵抗が30Ω/cm^2と高いこと、白金坦持カーボン電極では電極抵抗過電圧も非常に大きいことが判明した。 以上今回の実施結果により、今後の電解質膜のさらなる改良ならびにそれに最適な電解質材の選定に関すう重要な指針が得られた。
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Research Products
(2 results)