2011 Fiscal Year Annual Research Report
膜内在性[NiFe]ヒドロゲナーゼのX線結晶構造解析
Project/Area Number |
22770111
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
庄村 康人 兵庫県立大学, 大学院・生命理学研究科, 助教 (50423900)
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Keywords | 水素代謝 / 金属タンパク質 / ヒドロゲナーゼ / X線結晶構造解析 / 膜タンパク質 |
Research Abstract |
ヒドロゲナーゼがもつ酸素耐性の機構については,幾つかのモデルが提唱されているものの,どれも議論の余地が多く残されている.このうち,研究代表者は膜結合型と呼ばれる酸素耐性の最も高いとされる酵素の酸素耐性機構の解明を目指し,その結晶構造解析を行った. 本酵素が,新規の鉄硫黄クラスターである[4Fe-3S]-6Cysクラスターを活性中心付近にもつことが22年度までに明らかになっていたが,23年度はさらに様々な酸化還元状態における結晶構造を決定し,電位依存的にこの[4Fe-3S]-6Cysクラスターが構造変化をおこすことを見出した.まず,結晶を酸化することによって,同クラスターの構造が変化することが分かった.この時,クラスターの1つのFe原子が動き,Fe-S結合が1つ切れ,その代わりに,Fe原子はタンパク質中のペプチド主鎖の脱プロトンした窒素原子と新たな結合を形成していた.脱プロトン化にともなう電荷の変化は,鉄の酸化状態に大きな影響を与えると考えられる.これまでに、同クラスターには3つの酸化還元状態があることが分光学的研究により示唆されていたが、Fe-Sクラスターとしては異常なこの性質は、本研究で明らかになった構造変化により説明づけることができた.酸素分子がNi-Fe活性部位に結合すると、同クラスターは上述の構造変化によって,Ni-Fe活性部位に2つの電子を渡すことが可能となり、これらは活性部位に残された電子および別の鉄硫黄クラスターからの電子とともに,Ni-Fe活性部位に結合した酸素分子をヒドロキソ配位子にまで分解するのに用いられると考えられる.Ni-Fe活性部位の構造や、ガスチャネルの位置やサイズは標準型と膜結合型に大きな違いは見られなかったことから、膜結合型の酸素耐性は、この新規クラスターに由来すると結論づけた.
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[Journal Article] Crystallographic characterization of the DIX domain of the Wnt signalling positive regulator Ccd12011
Author(s)
Terawaki, S., Yano, K., Katsutani, T., Shiomi, K., Keino-Masu, K., Masu, M., Shomura, Y., Komori, H., Shibata, N., Higuchi, Y.
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Journal Title
Acta Crystallogr.Sect.F Struct.Biol.Cryst.Commun.
Volume: 67
Pages: 758-761
DOI
Peer Reviewed
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