2011 Fiscal Year Annual Research Report
系譜情報を利用したイネ多収品種タカナリの個葉光合成能の選抜由来に関する研究
Project/Area Number |
22780017
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
高井 俊之 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 作物研究所・稲研究領域, 主任研究員 (40547725)
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Keywords | イネ / 多収性 / 光合成 / 遺伝解析 |
Research Abstract |
本研究課題は、我が国の多収イネ品種の1つであるタカナリと、その祖先品種(緑の革命の立役者IR8を含む)の個葉光合成能と光合成関連形質の調査・比較・遺伝解析を通して、各形質の選抜由来を探り、多収品種の育種過程における光合成能の重要性を明確にするとともに、タカナリの光合成能の向上に寄与する遺伝変異を探索することで、今後の多収育種の方向を示すことを目的とする。 23年度は、22年度に観察された止葉の光合成速度の品種間差が、遺伝解析を行う栽培条件下でも安定して再現できるか確認実験を行った。コシヒカリ、タカナリ、統一、およびIR8を1列×3反復で栽培し、出穂期の止葉の光合成速度および関連形質を調査した。IR8は他の品種に比べ出穂期が3週間遅かったが、タカナリ、統一、IR8とともにコシヒカリよりも有意に光合成速度が高いことが再現良く観察され、その光合成速度の変異は葉身N含量とSPAD値によって精度良く説明することができた(r=0.81)。よって、光合成速度を葉身N含量やSPAD値によって個体レベルで評価できる、遺伝解析に供試できると判断した。 また、遺伝解析に向けて、22年度に作出したコシヒカリ/タカナリ、コシヒカリ/統一、コシヒカリ/IR8のF_1個体からF_2自殖種子をそれぞれ採種するとともに、ゲノムワイドに多型を示すDNAマーカーを各組み合わせ100マーカー以上得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最終年度での遺伝解析に向けて、形質の評価方法の確立および遺伝解析材料の作出ができたので、研究は順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度までの研究を踏まえて、24年度に光合成能の遺伝解析を行う。過去2年間の研究経過から判断して、大きな問題点無く研究が遂行できるものと考えている。
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