2010 Fiscal Year Annual Research Report
リグニンの錯体形成能を利用したリグニン系酸性土壌改良剤の開発
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22780164
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
相見 光 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特任助教 (50424742)
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Keywords | リグニン / 酸性土壌改良剤 / アルミニウム毒性 / 錯体形成 / オゾン |
Research Abstract |
著者らは、アルカリ処理したクラフトリグニン(KLA)は、アルミニウムとの錯体形成およびその毒性除去に有効であることを報告している。本研究では、フェノール性水酸基が両効果に貢献しているかを検討した。 フェノール性水酸基を含む構造では、カテコール構造がアルミニウムとの錯体形成およびその毒性除去に有効であることが確認されている。クラフト蒸解に比ベカテコール構造の生成が非常に少ないことが知られているソーダ蒸解を用いて調製したリグニン(AL)は、両効果に有効であることを確認した。カテコール構造がアルミニウムとの錯体形成に寄与しているかを電位差測定法により検討した結果、KLAおよびALではカテコール構造からの寄与は無いか非常に少ないことが確認された。クラフトリグニン中のフェノール性水酸基をメチル化した試料は、水溶性、アルミニウムとの錯体形成能およびその毒性除去能が低下したことより、フェノール性水酸基は水溶性を向上させることにより、アルミニウムとの錯体形成能およびその毒性除去能に間接的に貢献していることが示唆された。 また、著書らはこれまで、クラフトリグニンをオゾン酸化およびアルカリ処理することにより、そのアルミニウム毒性除去能が向上することを報告してきた。しかしながらクラフトリグニンの場合は、オゾンによるアルミニウム毒性除去能の向上効果は確認できたものの、その程度は比較的小さいものであった。そこで本研究ではオゾンによるリグニンのアルミニウム毒性除去能の向上効果を更に確認すべく、スギ木粉より調製したクラーソンリグニンを用いた検討を行った。オゾン酸化およびアルカリ処理したクラーソンリグニンのアルミニウムとの錯体形成能およびその毒性除去能を調べた結果、これらの能力はオゾン処理により明らかに向上することを確認した。
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