2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22780167
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
青木 謙治 独立行政法人森林総合研究所, 構造利用研究領域, 主任研究員 (90313072)
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Keywords | 構造用合板 / 釘接合部 / 耐力壁 / 耐久性評価 / 促進劣化 / 事故的水掛かり / 残存率 |
Research Abstract |
木質構造物が長期にわたって使用される中で、様々な使用環境下での劣化の進行による耐力低下や変形性能の低下が起こる可能性はある。本研究では、木質構造の耐震性に深く関わる面材張り耐力壁とその釘接合部に着目し、水分の進入による劣化を焦点に、長期使用下における耐久性評価と、事故的に起こる水掛かりによる耐力低下に関する研究を行い、材料の違いによる傾向を把握すると共に、試験・評価法の妥当性の検証を行うことを目的としている。 平成23年度は、木質構造物の耐力壁に一般的に使用されている面材料4つ(合板、OSB、PB、MDF。樹種や層構成、規格の違いにより、合計12種類の面材料を使用。)を対象に研究を行った。12種類の面材料と釘(CN50)を用いて釘接合部試験体を作成し、水中浸漬処理(事故的な水掛かりに対する評価)を施し、無処理の試験体と共に接合部の加力試験を行った。得られた試験結果より耐力の残存率を実験的に求めた結果、単板構成の違いにより多少の変動はあるものの合板では0.9~0.95程度、OSB、PB、MDFといった木質材料で0.8~0.9程度と、原材料の違いや製造方法の違いにより残存率の傾向が異なった。また、加力方向による明確な傾向の違いは現れなかった。 同じく12種類の面材料を用いて耐力壁試験体を作成し、接合部と同様の促進劣化処理を施して耐力残存率を求める予定であったが、面材料が緊結される軸組部分の促進劣化の影響をまず始めに把握する必要があると判断し、軸組部分の促進劣化処理と耐力確認試験を先行して実施した。また、無処理状態の耐力壁の性能確認を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
耐力壁試験体を作成し、接合部と同様の促進劣化処理を施して耐力残存率を求める予定であったが、面材料が緊結される軸組部分の促進劣化の影響をまず始めに把握する必要があると判断し、軸組部分の促進劣化処理と耐力確認試験を先行して実施し、面材を張った耐力壁試験体の促進劣化処理まで実施することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
軸組の影響は確認できたので、24年度当初より耐力壁の浸漬処理および耐力残存率確認試験を開始することができる。よって、研究の遅れは早期に解消される見通しである。 また、耐力壁と接合部の試験結果の比較より、接合部を用いた促進劣化処理方法の改良案を提示し、その手法による促進劣化試験を実施する予定である。以上より、概ね当初予定通りの成果が得られると判断している。
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Research Products
(1 results)