2010 Fiscal Year Annual Research Report
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22780171
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田角 聡志 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特任助教 (90359646)
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Keywords | 宿主特異性 / リガンド-レセプター相互作用 / 細胞表面ディスプレイ / トラフグ / 寄生虫 / 膜タンパク質 / 鰓 |
Research Abstract |
トラフグ養殖に深刻な被害を与える寄生虫Heterobothrium okamotoiは、鰓に着底後鰓腔壁に寄生する一方、皮膚には付着するものの脱落し、クサフグでは鰓にも寄生できない。このような宿主特異性はリガンド-レセプター間の相互作用によりもたらされていると思われる。平成22年度においては、そのようなレセプターを高効率に同定するために有効であると考えられる、細胞表面ディスプレイ法の開発と至適化を行った。初めに市販の昆虫細胞発現ベクターpIBを改変し、2つのSfiIサイトをもたせた。これにモデルタンパク質としてEGFPのDNA断片を挿入したものを昆虫細胞(High Five^<TM>)に導入した。その後抗生物質により選択培養を行い、得られた細胞をフローサイトメーターに供したところ、EGFPを発現することが明らかとなった。次に、N末端にインフルエンザウイルスのノイラミニダーゼの膜貫通領域とV5エピトープを融合させたEGFPを細胞に導入し同様に解析したところ、EGFPの発現が認められた。この細胞の表面のみをビオチン化し、V5エピトープに対する抗体を用いた免疫沈降を行ったところビオチンが検出されたことから、膜貫通領域を融合させたEGFPは細胞膜上に提示されることが示された。さらに、N末端にFLAGタグを融合させたトラフグ免疫関連膜タンパク質CD8αおよびCCR7を発現させ、免疫染色後に解析を行った。これらはI型膜タンパク質および7回膜貫通型タンパク質のモデルとして選ばれたものであるが、いずれも細胞表面に提示されることが示された。以上から、本実験系を用いてトラフグ膜タンパク質を昆虫細胞の表面に提示させることが可能であると考えられ、今後鰓由来cDNAのライブラリーを発現させることにより寄生虫に対するレセプターが同定できることが期待される。
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