2011 Fiscal Year Annual Research Report
酵素活性を指標とした有益プロバイオティクスの新規スクリーニング法の構築とその応用
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22780241
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
木下 英樹 宮城大学, 食産業学部, 助教 (50533288)
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Keywords | プロバイオティクス / 腸管付着性 / 付着因子 / アドヘシン / 乳酸菌 / ムチン / 熱ショックタンパク質 / GroEL |
Research Abstract |
プロバイオティクス乳酸菌が有用な機能を十分に発揮するためには腸管粘膜に付着することが重要であるが、腸管付着性試験は操作が煩雑であり時間やコストがかかるのが現状である。また、近年、GAPDHなどの細胞内酵素が高い腸管付着能力を持つ乳酸菌の菌体表層に発現しており、それらが付着因子として働いていることが明らかになり酵素活性を指標にした新たなスクリーニング法の可能性が示された。そこで、本研究では乳酸菌の腸管付着因子の基礎的知見を得ることを目的に、菌体表層に発現しているタンパク質にターゲットを絞り、腸管付着因子の探索を行った。 ブタ腸管から単離した12菌株の乳酸菌の腸管付着性試験を行った。Lactobacillus acidophilus PL1-2が13.5±5.34%と最も高い付着率を示した。Weissella属の3菌株は全て8%以上と比較的高い付着率を示したが、Lactobacillus属はPL1-2株以外、比較的低かった。付着率が高い上位5菌株について、PBSおよび塩酸グアニジンで抽出した菌体表層タンパク質のSDS-PAGEを行った。SDS-PAGEにおいて、全ての菌株から分子量約64kDaに共通バンドが検出された。そこで代表としてWeissella viridescens PB3-7の約64kDaに検出されたバンドをN-末端アミノ酸配列分析に供し、相同性検索の結果を行ったところ、乳酸桿菌由来の熱ショックプロテイン、GroELと推測された。GroELは付着因子としてのいくつかの報告例があるため本菌株においても付着因子として働いている可能性が高いと考えられた。これにより選抜菌株が全てにおいてGroELを菌体表層に有している可能性が考えられた。今後、他の菌株の64kDaタンパク質がGroELであるかを検討し、付着因子としての有用性を証明していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
東日本大震災により1ヶ月ほど研究室の電源が消失し、80℃に保存してあった選抜菌株のいくつかが死滅した。そのため、一部、前年度の続きを行うことが困難になった。そこで付着性試験から再試験したため予定より研究の達成度が遅くなった。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる本年度は昨年、有力な付着因子候補となった熱ショックプロテインGroELについて本当に多くの菌株で付着因子として働いでいるのかを検討する。まずは、付着因子として証明するためにGroELの遺伝子クローニングおよび大腸菌での組換え体の作製を行う。作製した組換え体を精製し、ムチンや糖鎖などへの付着性を確認する。その後、ウェスタンブロッティングによってGroELを保有している菌株がどのくらいいるのかを調査し、付着力との相関性を解析する。また、グリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素(GAPDH)との組合せにより腸管付着性試験を介しない付着性乳酸菌の選抜法を確立する。
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Research Products
(2 results)