2012 Fiscal Year Annual Research Report
植物におけるヨウ素動態の分子生理学的解明と栄養学的応用
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22780302
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
中村 達夫 横浜国立大学, 環境情報研究院, 准教授 (50334636)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | ヨウ素 / 微量栄養素欠乏 / シロイヌナズナ / イネ / 遺伝子 / タンパク質 |
Research Abstract |
必須元素であるヨウ素の不十分な摂取により引き起こされるヨウ素欠乏症は、ビタミンA欠乏症、鉄欠乏症、亜鉛欠乏症などと並び、世界で最も深刻な微量栄養素欠乏症の一つである。ヨウ素欠乏症を予防する手段としてヨウ素添加食塩が世界的に普及しているが、発展途上国を中心としてその普及が十分ではない状況が続いている。本研究では、より効率的にヨウ素栄養を普及させるための、高ヨウ素栄養植物の開発を最終目標としている。 平成23年度までの成果として、モデル植物であるシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)において、ヨウ化物イオンをメチル化するAtHOLタンパク質の遺伝子改変により、植物体に蓄積するヨウ素量が上昇することを示している。また、イネ(Oryza sativa)の相同遺伝子であるOsHOL1遺伝子およびOsHOL2遺伝子について、融合タンパク質を用いた酵素化学的解析を行うことにより、これらのタンパク質がヨウ化物イオンに対して高いS-アデノシルメチオニン依存的メチル基転移活性を示すことを明らかにしている。これらのことから、イネにおいてもHOL遺伝子の改変が植物体中のヨウ素含量を上昇させる可能性が示唆されていた。 平成24年度の研究成果として、OsHOL遺伝子を改変したイネを作製し元素分析等の解析を行うことにより、OsHOL遺伝子の改変がイネにおけるヨウ素蓄積量を上昇させることを明らかにした。これは作物の遺伝的改変によりヨウ素含量を上昇させた初めての例である。また、シロイヌナズナのヨウ素含量に影響を与える遺伝子の同定に成功した。今後はこれらの遺伝子とヨウ素蓄積との関連をより詳細に解析することで、実用化に必要な基礎的知見が得られると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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