2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22790066
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡田 欣晃 大阪大学, 薬学研究科, 助教 (50444500)
|
Keywords | 血管内皮細胞 / Robo4 / エビジェネティクス / DNAメチル化 / 遺伝子発現制御 |
Research Abstract |
我々は、Robo4遺伝子が血管内皮細胞に特異的に発現するメカニズムを明らかにするために、エピジェネティックな転写制御に着目し研究を行っている。今回、Robo4プロモーターのDNAメチル化が血管内皮細胞特異的な遺伝子発現に寄与するかについて検討を行った。まず、血管内皮細胞と非血管内皮細胞をDNAメチル化酵素阻害剤(5-aza-2'-deoxycitidine)で処理したところ、Robo4遺伝子の発現は血管内皮細胞ではほとんど変化しなかったが、非血管内皮細胞では顕著に発現が上昇した。この結果から、DNAメチル化がRobo4遺伝子の発現制御に関与し、特に非血管内皮細胞における遺伝子発現抑制に関与することが明らかになった。次に、この発現抑制がプロモーターのDNAメチル化によりもたらされているのかを解析するため、メチル化サイトに変異を導入した変異プロモーターを作製した。次に、この変異プロモーターにLacZ遺伝子を連結した配列1コピーをマウスES細胞のHprt遺伝子上流に相同組換えにより挿入した。得られた変異プロモーターを持つES細胞をin vitroで血管内皮細胞へと分化させたところ、野生型プロモーターを持つES細胞と同等のLacZ遺伝子の発現が確認され、変異プロモーターが血管内皮細胞において野生型と同等の活性を持つことが明らかになった。一方、同じES細胞を血管内皮細胞と非血管内皮細胞の両者を含む胚様体へと分化させたところ、野生型プロモーターをもつ胚様体に比べ、変異プロモーターを持つ胚様体ではLacZの発現が1.5倍以上増加することが明らかになった。また、両胚様体には同程度の血管内皮細胞が含まれていたことから、変異プロモーターが非血管内皮細胞において活性化されたことが示唆された。以上の結果から、プロモーターのDNAメチル化が血管内皮細胞特異的遺伝子発現に寄与する可能性が示された。
|