2011 Fiscal Year Annual Research Report
HDL形成タンパク質ABCA1の新しい活性制御機構の解析
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22790102
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
奥平 桂一郎 国立医薬品食品衛生研究所, 機能生化学部, 主任研究官 (10425671)
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Keywords | 脂質 / 動脈硬化 |
Research Abstract |
ABCA1のC末端切断産物の核移行を調べる目的で、mycタグを付加したABCA1のC末端(385アミノ酸)タンパク質をテトラサイクリン誘導的に発現する293細胞を作製し、コントロールとしてABCA7のC末端(385アミノ酸)タンパク質を発現する293細胞も作製した。この二つの細胞系において、それぞれのC末端タンパク質の発現と細胞内局在を観察した。ABCA1、A7ともにテトラサイクリン刺激により発現が誘導され、どちらも主に細胞質全体に発現しており、この条件においては、ABCA1のC末端タンパク質が核に局在していることは確認できなかった。 double-stranded RNAの刺激によって切断産物の増加が起こることから、dsRNAのレセプターであるToll-like receptor 3(TI.R3)遺伝子を細胞に導入して、その効果が増強されるか調べた。不死化したmouse embryonic fibroblast(MEF)、または、ヒト線維肉腫HT1080細胞にTLR3を強制発現させると、ABCA1の発現量が僅かに上昇し、切断産物の産生は増加した。また、前年度にマトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤GM6001によって切断産物のdsRNA依存的産生の減少が観察されていたことから、TNFレセプターやCD44など様々な膜タンパク質の切断に関与していることが知られているメタロプロテアーゼADAM17(TACE)をMEFに強制発現させたところ、切断産物のdsRNA依存的産生が増加した。前年度に示した、TLR3の下流にあるリン酸化酵素TBK1の阻害によって切断産物のdsRNA依存的産生減少が観察されたことと考え合わせると、TLR3シグナルからADAM17が活性化され、ABCA1が切断されるという経路が示唆された。 ABCA1のC末端タンパク質をレンチウイルス系によりTHP-1細胞、及びヒト初代培養繊維芽細胞に発現させ、これらの細胞からmRNAを抽出してマイクロアレイ解析を行っており、現在解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ABCA1のC末端タンパク質の誘導発現株細胞において、当初期待したような核局在は認められなかったが、次年度より本細胞を用いて、dsRNA刺激等を与えた時の細胞内局在が変化するかどうかについて検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように、細胞にdouble-stranded RNA刺激等を与えた時、C末端タンパク質の細胞内局在が変化するかどうかについて検討する。さらに、ABCA1のC末端に核内受容体LXRが結合することが報告されているので、LXRを強制発現させた細胞にLXRリガンドを加えた場合のC末端タンパク質の細胞内局在について検討する。C末端タンパク質の発現、及び各種刺激を加えた時のABCA1等の遺伝子発現量の変化を測定し、細胞がどのような影響を受けているかを調べる。
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Research Products
(4 results)