2011 Fiscal Year Annual Research Report
細胞周期制御における多機能性蛋白質14-3-3の役割
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22790103
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
笠原 広介 愛知県がんセンター(研究所), 発がん制御研究部, 研究員 (90455535)
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Keywords | 細胞周期 / DNA障害チェックポイント / 細胞分裂期 / タンパク質リン酸化 / プロテインキナーゼ / 14-3-3 / Polo-like kinase / Chk1 |
Research Abstract |
細胞周期の進行やその監視システムであるチェックポイント機構においては、蛋白質リン酸化修飾による機能制御が重要な役割を担う。我々は、細胞周期進行/チェックポイントにおける新たなリン酸化シグナル伝達経路を明らかにするため、リン酸化結合蛋白質である14-3-3の機能解析からアプローチを進めている。これまでに以下のごとを明らかにした。 1)Polo-like kinase 1(Plk1)新規リン酸化反応の解析 細胞分裂期(M期)に14-3-3が結合する分子としてPlk1を同定し、さらに、その結合がPlk1のSer99リン酸化反応に依存することを見出した。このリン酸化は、Plk1の活性化に必要不可欠であり、M期の分子メカニズムを理解する上で重要性が高いと思われる。 2)増殖生存シグナルにおけるチェックポイントキナーゼ1(Chk1)の生理的意義 増殖生存シグナルが亢進すると、Chk1がp90 RSKによりリン酸化されることで細胞核へ局在し、DNAの保全に機能していることを明らかにした。本成果は、増殖生存シグナルとDNA保全チェックポイントを連係するシグナルとして重要性が高いと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
特定の細胞周期において特異的に14-3-3と結合する複数の分子を同定した。その中の1つChk1(Check point kinase1)については、Chk1の自己リン酸化依存的に14-3・3が結合すること、この結合がDNA障害チェックポイントにおけるChk1機能に必要不可欠であることを明らかにした。この成果は、国際的科学雑誌であるThe EMBO Journal(査読付き)に掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに細胞分裂期(M期)特異的に14-3-3と結合する分子として見出したPlk1(Polo-H:kinase1)について解析を進めていく。既に、14-3-3の結合部位としてPlklSer99を同定し、この部位のリン酸化がPlk1の活性化に必要不可欠であることを明らかにしている。今後、(1)PlklSer99のリン酸化を遂行する上流キナーゼの同定、(2)Ser99をリン酸化されないAla(S99A)もしくはリン酸化を模倣するAsp/Glu(S99D/S99E)に置換した変異体を用いた機能解析、(3)14-3-3およびPlklSer99リン酸化がM期進行に及ぼす影響について解析を進めていく。
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