2010 Fiscal Year Annual Research Report
重金属毒性に対する転写因子Nrf1の防御的役割とその応答機構の解析
Project/Area Number |
22790128
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
新開 泰弘 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教 (10454240)
|
Keywords | カドミウム / Nrf1 / 抗酸化剤応答配列 / 血管内皮細胞 / 生体防御システム |
Research Abstract |
今年度は環境汚染重金属のモデルとして、カドミウムを使用した。カドミウムは動物実験や疫学的調査から、動脈硬化や高血圧などの血管病変誘発因子であることが知られている。そこで、血管内皮細胞におけるカドミウムの毒性に対するNrf1の防御的役割およびその分子機構の解析を行った。ウシ大動脈血管内皮細胞において、SDS-PAGE上にて約150kDaのNrf1の発現が観察された。このバンドはN結合糖鎖付加阻害剤であるツニカマイシンの処理により約110kDaにシフトしたことから、約150kDaのバンドが糖鎖結合型、約110kDaのバンドが脱糖鎖型であることが示唆された。そこで全長Nrf1を標的とするsiRNAを設計・導入して当該転写因子をノックダウンしたところ、カドミウムの細胞毒性は有意に増強された。同条件下において、抗酸化剤応答配列(ARE)の転写活性化は減弱し、下流の抗酸化酵素群の発現が減少していた。次に、カドミウムに対するNrf1の応答について検討したところ、カドミウムの曝露により脱糖鎖型Nrf1の発現が濃度依存的に増加し、核に蓄積した。更に、Nrf1はカドミウムの曝露によってNAD(P)H:キノン酸化還元酵素1やペルオキシレドキシン1のような抗酸化酵素群のプロモーター領域にリクルートされていた。以上より、Nrf1は血管内皮細胞において、重金属であるカドミウムの毒性に対する防御応答を担う転写因子である事が示唆された。
|
Research Products
(8 results)