2011 Fiscal Year Annual Research Report
広範な疾患と投与量の個別化に利用できるアルブミンバイオマーカーの探索技術の開発
Project/Area Number |
22790160
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
大山 要 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (50437860)
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Keywords | HSA / 蛍光プローブ / 電気クロマトグラフィー |
Research Abstract |
平成23年度は、先に開発した蛍光プローブDAPIMのヒト血清アルブミン(HSA)への特異性を検証するため、競合結合試験及びScatchard plotにより結合サイトの特定及び結合定数の算出を行った。その結果、DAPIMはHSAのsite IIに結合し、結合定数は3.65x10^6M^<-1>であった。特に結合定数は、これまでに報告されているHSA用プローブに比べ10-100倍以上高く、DAPIMが極めて特異性の高いプローブであることが明らかとなった。次に、アルブミンバイオマーカーの探索では蛍光プローブの定量性が極めて重要であることから、DAPIMを用いてHSAの定量を行った。HSA標品を対象に定量性を確認した後、ヒト血清試料中のHSAを定量し、従来法であるブロモクレゾールグリーン法(BCG法)と比較した。DAPIMを用いた定量結果は、BCG法で得られた結果と良好な相関性を示した。このことから、DAPIMが血清中でも選択的にHSAと結合し、その結合量がHSA量に依存的であることが明らかとなり、アルブミンバイオマーカー探索においてDAPIMが有用であることが明らかとなった。しかし、今回得られた検出感度は、DAPIMの高い結合定数から想定していた感度に比べ低かったため、極微量のマーカーを探索対象とするには現在進行中のDAPIMのX線構造解析の結果を基にした、DAPIMの構造改変が必要と思われる。一方、前年度にアルブミンバイオマーカーの精密分離を目的に調製したポリマーモノリスカラムについて、作製条件(モノマー種類・反応時間等)の最適化を行い、分離能が約2倍改善した。以上の研究成果から、アルブミンバイオマーカーを特異的に検出可能な蛍光プローブと多種類のアルブミンを分離可能と予想される高性能モノリスカラムが得られ、両者を備えたアルブミンバイオマーカー探索用分析システムの開発につながる成果となった。
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