2010 Fiscal Year Annual Research Report
広範囲なHIV臨床分離株を用いた薬剤耐性誘導システムの樹立と効率的な治療法確立
Project/Area Number |
22790163
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
原田 恵嘉 熊本大学, エイズ学研究センター, COEリサーチ・アソシエイト (30508643)
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Keywords | ウイルス / 感染症 / 免疫学 |
Research Abstract |
これまで耐性ウイルス出現の機序の研究には実験室株であるHIV-1サブタイプBのCXCR4指向性HIV-1(X4ウイルス)をT細胞株に感染させるin vitro耐性誘導解析が主に行われてきたが、in vitroの結果と臨床(in vivo)の結果で乖離が認められることが多かった。実際に患者体内で感染の主体となっているウイルスはCCR5指向性HIV-1(R5ウイルス)であり、また、サブタイプB以外のHIV-1の感染が広がっていることなどが原因と考えられる。 そこで、本研究は、HIV-1感染患者から、各種サブタイプ(B, C, CRFO1_AE,およびCRFO8_BC)のR5-、X4-、およびX4/R5混在-臨床ウイルスを分離し、広範囲なラルテグラビル(RAL)に対するin vitro耐性誘導及びその解析を行った。 その結果、これまでin vivo耐性ウイルスでのみ認められていたY143C/R変異や、現在までに一度も報告がされていない新たな関連変異(G189Rなど)がin vitroで誘導された。これらの結果は実験室株ではなく各種臨床分離株を用いる本システムにより、in vivoに近い耐性変異のデータを得ることが可能なことが示された。 また非常に興味深いことに、RALのプレッシャーによりインテグラーゼだけでなくエンベロープ(Env)の領域においても、耐性誘導前のクワシスピーシスから、耐性誘導群と継代コントロール群で明らかに異なった配列を有するウイルスが選択されることが明らかになった。つまり、RAL耐性獲得過程で何らかのEnv領域の選択に対する関与が存在することが示唆された。
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Research Products
(4 results)