2011 Fiscal Year Annual Research Report
広範囲なHIV臨床分離株を用いた薬剤耐性誘導システムの樹立と効率的な治療法確立
Project/Area Number |
22790163
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
原田 恵嘉 熊本大学, エイズ学研究センター, COEリサーチ・アソシエイト (30508643)
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Keywords | HIV-1 / 薬剤耐性 / 臨床分離株 / ウイルス / 感染症 |
Research Abstract |
昨年度に実施した各種サブタイプのR5-、X4-、およびX4/R5混在-新規臨床分離株を用いたインテグラーゼ阻害剤ラルテグラビル(RAL)に対する広範囲なin vitro耐性誘導過程において、(i)RALによりエンベロープ(Env)領域が選択圧を受ける可能性、(ii)Ehv配列がRAL感受性に影響することが確認された。そこで、本年度は、RAL以外の抗HIV剤として逆転写酵素阻害剤ラミブジン(3TC)、プロテアーゼ阻害剤サキナビル(SQV)、およびCCR5阻害剤マラビロック(MVC)存在下でも同様の実験を行い、各HIV剤が作用部位とは異なるEnv領域のdiversityを減少させるのみならず、それぞれの薬剤によって選択するウイルスのEnv領域に違いが見られることを明らかにした。このことは、今後cARTにおける侵入・融合阻害剤との組み合わせにおいて薬剤選択に重要な知見となると考えられ、論文にまとめ、現在投稿準備中である。 他方、上記の解析において、RAL選択圧が作用部位とは異なるEnv領域に影響することが明らかになった。そこで、MVCに対するin vitro耐性誘導で得られたMVC耐性株を用いて、RALに対するin vitro耐性誘導を行ったところ、Env V3 tip領域に変異が生じ、MVCに対する感受性を高度耐性から高度感受性に大きく変化させる結果が得られた。V3変異がMVC高度感受性をもたらす知見は過去に報告されておらず、現在、組換えウイルスを中心に更なる解析を進めている。この成果は、国際学会「IAS2011」で報告し(Abstract number : TUPE089)、数ヶ月中に、学術雑誌に投稿する予定である。
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Research Products
(6 results)