2010 Fiscal Year Annual Research Report
アストロサイトのカルシウムシグナルにより発現制御される翻訳抑制因子の機能解明
Project/Area Number |
22790243
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金丸 和典 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (10456105)
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Keywords | 神経・グリア相互作用 / アストロサイト / カルシウムシグナル |
Research Abstract |
脳形成・機能発現および維持には、成長因子供給などを介したアストロサイトからニューロンへの積極的な働きかけが必須である。先行研究により、アストロサイト細胞内のカルシウム濃度変化(カルシウムシグナル)によるN-カドヘリン発現制御が、このようなアストロサイトの機能に寄与することを解明した。本研究では、カルシウムシグナルからN-カドヘリン発現制御に至るパスウェイを仲介する因子として、N-カドヘリンmRNAへの結合能を有する翻訳抑制因子Pumilioに着目し、その生体内機能の解明を試みた。新規作製した抗Pumilioポリクローナル抗体はウエスタンブロットや免疫組織化学的実験において従来品よりも信頼性の高い結果が得られるものであり、これを用いてマウス大脳皮質アストロサイトにおけるPumilio発現量を解析した結果、成体脳損傷時にPumilio発現量が変化することを発見した。今後は遺伝子改変マウスやアデノウイルスベクターを用いたアストロサイトへの遺伝子操作を駆使し、Pumilio発現変動とカルシウムシグナルおよびN-カドヘリン発現量の相関を詳細に検証するとともに、Pumilio関連パスウェイの病理的意義の解明を試みる。さらに、カルシウムシグナルによるPumilio発現制御機構を解明するため、Pumilio認識配列を付加したGFPレポーターによるアッセイ系を確立し、各種転写因子関連パスウェイに対する阻害剤の影響を評価する実験にも着手している。本研究で行うPumilio関連パスウェイの包括的な機能解明は、未だ不明な点の多い、脳損傷時におけるアストロサイト機能の理解につながることが期待される。
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