2010 Fiscal Year Annual Research Report
抗酸化剤による精神疾患モデル動物の認知機能障害の改善とその作用メカニズム
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22790245
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
水野 誠 新潟大学, 超域研究機構, 准教授 (20345515)
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Keywords | 栄養因子 / 活性酸素 / ドパミン / 認知 / 統合失調症 |
Research Abstract |
統合失調症のモデルにおける炎症性サイトカインの関与についての研究で、炎症性サイトカインは活性酸素を誘導することから、活性酸素と認知行動障害、統合失調症と酸化ストレスの関与が示唆されている。そこで、抗酸化剤が統合失調症のモデルの種々の行動異常を修飾、改善するのかを解析した。有用な統合失調症モデルである腹側海馬破壊(VHL)のモデル動物を作成した。妊娠後期E15.16齢の母体ラットへpoly I:C(二本鎖RNA)投与、リポ多糖LPS (lipopolysaccharide)を投与してその仔ラットを別種のモデル動物として利用した。さらに、発生後の仔ラットへ上皮成長因子を投与する統合失調症モデルも作製した。これらの動物を用いて、行動解析を行った。最初に一般行動として自発運動量の測定を行った。モデル動物の評価のために、プレパルスインヒビションの測定や社会性行動試験を行った。さらに固執性異常の解析に有効なラテントインヒビション(潜在学習抑制)を測定した。測定の結果、モデル動物では自発運動量が増加し、プレパルスインヒビションが低下していた。社会性行動が抑制されていた。潜在学習抑制に欠損が生じていた。続いて、これらの統合失調症モデルヘ各種抗酸化剤を脳室内持続注入または経口投与した。抗酸化剤であるエダラボンEdaravone ; 3-Methyl-1-Phenyl-2-Pyrazolin-5-one、やトロロックス;6-Hydroxy-2,5,7,8-tetramethylchroman-2-carboxylic acidを1,10および50mg/kg/dayを慢性投与し、プレパルスインヒビション測定と社会性行動試験を行った。その結果、統合失調症モデルで見られた数々の異常行動が10および50mg/kg/dayを慢性投与した群で改善した。以上の結果、抗酸化剤がモデル動物の脳内に作用し、様々な認知機能障害を改善することが認められた。
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Research Products
(1 results)