2010 Fiscal Year Annual Research Report
善玉アディポカイン候補Dドーパクロムトートメラーゼの抗肥満作用に関する研究
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22790253
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
岩田 武男 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (10350399)
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Keywords | アディポカイン / 脂肪細胞 / 脂質代謝 / インスリン抵抗性 / 肥満 / AMPK / ホルモン感受性リパーゼ / アセチルCoAカルボキシラーゼ |
Research Abstract |
脂肪細胞が分泌する蛋白質の網羅的解析により同定されたD-dopachrome tautomerase(DDT)は肥満者の脂肪細胞でそのmRNA発現が低下する。これまでのヒト前駆脂肪細胞株SGBS細胞を用いた研究により、DDT発現抑制脂肪細胞では、中性脂肪の蓄積の抑制、脂質代謝に関わる遺伝子の発現量の増加、インスリン抵抗性を惹起するaP2の発現の亢進が認められたことから、DDTは抗肥満作用を有する善玉アディポカインとして作用すると考えられた。本研究ではその抗肥満作用を確たるものとするため、引き続きDDT抑制脂肪細胞を用いた解析、肥満モデルマウスを用いた解析を行った。DDT発現抑制脂肪細胞ではエネルギー代謝に関わるAMPKの基質であるアセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC;脂肪酸合成に関わる酵素)及びホルモン感受性リパーゼ(HSL;ホルモン刺激による脂質分解に関わる酵素)の活性抑制を示すリン酸化レベルの低下が認められたことから、DDT発現抑制脂肪細胞ではAMPKの活性低下により脂質代謝が活性化していることが示唆された。またDDT発現抑制脂肪細胞にDDTを作用させるとそれらのリン酸化レベル及び脂質代謝に関わる遺伝子発現量が回復することから、分泌DDTは脂肪細胞に自己分泌的に作用し、脂質代謝を制御していると考えられた。さらに肥満モデルマウスであるdb/dbマウスにDDTを腹腔内投与し、グルコース負荷試験、インスリン負荷試験を行ったところ、DDTは肥満によるインスリン抵抗性を改善することが示唆された。今後はDDTの肥満モデルマウスにおけるインスリン抵抗性改善機序について解析する予定である。
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