2011 Fiscal Year Annual Research Report
Ror1受容体を介したシグナル伝達機構とその発生及びがんにおける役割の解明
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22790291
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
西田 満 神戸大学, 医学研究科, 准教授 (30379359)
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Keywords | トリプルネガティブ乳癌 / Ror1 / Wnt5a |
Research Abstract |
様々な種類のヒト乳癌細胞株における受容体チロシンキナーゼRor1、Ror2とそれらのリガンドであるWnt5aの発現を解析した結果、エストロジェン受容体、プロゲステロン受容体、HER2の発現がいずれも陰性のトリプルネガティブ乳癌細胞において、Ror1が過剰発現していることを見出した。一方、Ror2はそれらのマーカー遺伝子の発現とは関係なく、一部の乳癌細胞株で発現が認められ、Wnt5aはほとんど全ての乳癌細胞株で発現が認められた。Ror1が高発現しているトリプルネガティブ乳癌細胞株MDA-MB435Sを用いて、Ror1を標的とするsiRNAの導入により内在性Ror1の発現を低下させた結果、細胞増殖能の顕著な低下が認められた。同様の結果は、Ror1の機能を阻害すると予想されるRor1の細胞外領域に対する抗体を培地に添加した場合にも認められた。さらに、MDA-MB435Sは軟寒天中において足場非依存的に増殖しコロニーを形成するが、Ror1 siRNA処理によりコロニー形成能の低下も認められた。次に、Ror1の発現抑制によって影響を受ける細胞内シグナル伝達経路を明らかにするため、各種シグナル伝達因子のリン酸化特異的抗体を用いて、Western blot解析を行った結果、Src、Akt、Erkのリン酸化レベルがRor1の発現抑制によって顕著に低減した。また、MDA-MB-435S細胞をリコンビナントWnt5aで刺激した結果、それらのシグナル伝達因子のリン酸化レベルの亢進と増殖の促進が認められた。以上の結果から、ヒトトリプルネガティブ乳癌細胞において、Ror1が過剰発現しWnt5a-Ror1シグナルが活性化されると、Src、Akt、Erk等を介して細胞増殖が促進されることが示唆された。
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Research Products
(6 results)