2010 Fiscal Year Annual Research Report
TSLPとTh2細胞の協調的な働きによるアトピー性皮膚炎の病態形成機構
Project/Area Number |
22790475
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
大森 深雪 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (30462667)
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Keywords | アレルギー疾患 / Th2細胞 / Th2サイトカイン / TSLP / 表皮ケラチノサイト |
Research Abstract |
本年度使用予定だったK5-TSLP遺伝子改変マウスは繁殖効率の著明な低下でコロニーを十分に拡大できなかったため現在原因を究明中である。この状況をふまえ、本年度は、(1)TSLP添加によりin vitroで分化誘導したTh2(TSLP-Th2)細胞とIL-4により分化誘導したTh2(IL4-Th2)細胞における性状の差異、(2)表皮のターンオーバーにおけるTSLP-Th2細胞およびIL4-Th2細胞の役割について検討した。(1)IL4-Th2細胞およびTSLP-Th2細胞は共にTh2サイトカイン(IL-4,IL-13,IL-5)を産生する。TSLP-Th2細胞におけるTh2サイトカイン産生は、IL4-Th2細胞同様IL-4受容体シグナル依存的に誘導された。また、TSLP-Th2細胞におけるTh2サイトカイン産生はIL4-Th2細胞における産生より高いことから、TSLP受容体シグナルはIL-4産生誘導あるいは産生の亢進に作用している可能性が示唆された。(2)Th2サイトカインの表皮ケラチノサイト(KC)分化における作用を検討した。その結果、IL-4あるいはIL-13の存在下で、表皮KCの分化および構造に関わる分子マーカーの一部に発現減少が認められた。次いで、アトピー性皮膚炎患者の病変表皮へのCD4陽性T細胞の浸潤が認められるという報告をふまえ、in vitroで分化誘導したTh2細胞と表皮KCとの共培養を行った。その結果、Th2細胞と共培養した表皮KCでは、IL-4存在下と同程度の傾向が認められた。TSLP-Th2細胞とIL4-Th2細胞の作用が同一か否かは今後の課題であるが、Th2細胞由来のTh2サイトカインが少なくとも表皮KCの分化を制御する可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)