2011 Fiscal Year Annual Research Report
TSLPとTh2細胞の協調的な働きによるアトピー性皮膚炎の病態形成機構
Project/Area Number |
22790475
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
大森 深雪 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (30462667)
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Keywords | アレルギー / アトピー性皮膚炎 / Th2細胞 / Th2サイトカイン / TSLP |
Research Abstract |
アトピー性皮膚炎患者の病変皮膚で高発現するサイトカインTSLPは、Th2細胞のTh2サイトカイン産生や皮膚への浸潤を誘導する。Th2サイトカインの高発現がアトピー性皮膚炎様皮膚症状を惹起することは既知であるが、そのメカニズムには未知な点が多い。そこで本研究では、TSLPの高発現、Th2細胞の分化亢進が表皮病態とどのように関連するのかを明らかにするために、表皮ケラチノサイト(KC)の角化におけるTh2細胞の作用、表皮KCにおけるTSLP発現の誘導因子、TSLPにより分化したTh2(TSLP-Th2)細胞とIL-4により分化したTh2(IL4-Th2)細胞との質的相違について、マウスを用いたin vitroあるいはin vivoの実験系で検討している。皮膚は表皮と真皮により構成されるが、Th2サイトカインは表皮と真皮を分かつ基底膜を溶解する物質を誘導するという報告がある。基底膜が破壊されれば、真皮へと浸潤した免疫細胞と表皮が近傍に存在しうることから、表皮KCとTh2細胞のクロストークの可能性を検証した。その結果、Th2細胞は、細胞同士の接触ではなくサイトカイン(IL-4、IL-13)を介して、角化途上の表皮KCを構成する分子の発現を低下させることが明らかとなった。また、IL-4あるいはIL-13存在下の表皮KCでは、増殖およびアポトーシスに関する分子マーカーの発現変化は起こらなかった。さらに、IL-4とIL-13はリンパ球でSTAT6のリン酸化を誘導するが、表皮KCにおいても同様の結果が得られた。以上の結果より、IL-4あるいはIL-13の存在は、表皮の増殖ではなく構造を変化させうると考えられる。現在は、Th2細胞分化亢進因子であるTSLPの発現誘導機序、TSLP-Th2細胞が表皮の性状変化に対してIL4-Th2細胞と同様の作用を呈するのか否かについて検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
東日本震災の影響として、1ヶ月の大学校舎への立ち入り禁止措置や、夏期の節電、漏電による研究室近傍の火事、研究室内でのガス漏れなどにより、実験遂行に充当できる時間や使用できる機器が限られ、動物の計画的繁殖にも少なからず支障があった。以上の事情と教育業務との兼ね合いから進捗が遅滞する結果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
複数の遺伝子改変マウスを掛け合わせて行う予定であったin vivo実験系は時間を要する見込みとなるため規模を縮小し、最終年度はin vitroの実験系に力を入れて引き続き研究を推進する。
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Research Products
(2 results)