2010 Fiscal Year Annual Research Report
がん化学療法における併用薬の使用実態調査と相互作用の予測に基づく安全性の確立
Project/Area Number |
22790511
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
吉田 直子 金沢大学, 薬学系, 助教 (20565428)
|
Keywords | がん化学療法 / 漢方薬 / 安全性 |
Research Abstract |
本研究では、がん化学療法における医薬品使用の安全性を確立することを目的として、イリノテカン塩酸塩(CPT-11)と半夏瀉心湯(TJ-14)を例に、抗がん薬と漢方薬との併用実態を調査した。また、対象患者の検査値推移、薬歴を調査することにより、TJ-14がCPT-11施行患者における副作用の発現に及ぼす影響を評価した。対象は、浜松医科大学医学部附属病院において2007年1月1日から2009年12月31日にがん化学療法が施行された全入院患者として、浜松医科大学医学部附属病院臨床データ検索システムを用いて調査した。本研究の成果として、CPT-11施行患者の約半数がTJ-14を併用していることが明らかになった。CPT-11の使用は、経年的に増加していたのに対し、TJ-14の使用は、2009年において前年の約62%に減少していた。一方、CPT-11とTJ-14との併用は、経年的に増加し、2009年におけるTJ-14の全使用のうち約79%がCPT-11と併用されていた。CPT-11とTJ-14が併用されていた診療科は、主に、消化器内科と呼吸器内科であった。CPT-11を用いたがん化学療法において、CPT-11の投与量とTJ-14の併用率に有意な相関は認められなかった。CPT-11施行患者における下痢の発現の指標としてロペラミド塩酸塩製剤(LPR)の併用実態を調査した結果、TJ-14併用の有無とLPRの併用の有無に有意な関連性は認められなかった。一方、CPT-11施行患者におけるTJ-14の併用と検査値異常の発現について調査した結果、Common Terminology Criteria for Adverse Events v4.0のgrade 1以上のAST上昇、γ-GTP上昇、K低下およびNa低下の発現とTJ-14の併用に有意な関連性が認められた。
|
Research Products
(1 results)