2011 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内コレステロール動態を標的としたNASH発症の遺伝的・後天的要因の解明
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22790543
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
内藤 久雄 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (90547556)
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Keywords | 非アルコール性脂肪性肝疾患 / コレステロール / 胆汁酸 / 核内受容体 / トリグリセライド / BSEP / MRP3 / 薬物代謝酵素 |
Research Abstract |
高脂肪・高コレステロール飼料(HFC)を脳梗塞易発症性高血圧自然発症ラット(SHRSP)の亜系統(SHRSP5/Dmcr)に与えると、短期間で肝臓に著明な脂肪の蓄積、肝炎・線維化に進展する。しかし、SHRSPにHFCを摂取させた場合、これらへの進展は軽度である。この研究では、両系統にHFCを摂取させ、肝臓のコレステロール及びその代謝(異化)産物である胆汁酸動態に関与する因子を比較し、それらと肝線維化発生メカニズムとの関連の解析を行った。 昨年度は、コレステロール及びその代謝物である胆汁酸動態に関与する遺伝子群の解析を行い、肝臓への胆汁酸蓄積が線維化発症の原因と考えられた。 両ラットともHFC8週間摂取により肝重量が対照群に比べ3~5倍に増加していること、病理組織学的所見特に線維化を評価するために行ったエラスチカワンギーソン染色において、HFC8週摂取により両ラットとも程度の違いはあるが肝臓の辺縁部特に背側に線維化が密集していた。このことから、その部位に胆汁酸が蓄積・濃度が増加することにより毒性が出現し、壊死・線維化発症へつながったことが考えられ、今年度は星細胞(線維芽細胞)の活性化の指標であるαSMA、胆汁の胆管排泄が障害を受けたときに防護的にその発現が増加するMRP3、さらにクッパー細胞をCD68を抗体を用いて免疫組織学的染色を行った。その結果、線維化が密集していた部分に一致して、αSMA、MRP3が発現しており、クッパー細胞も線維化部分や壊死領域に多く認められた。 以上から、胆汁酸が蓄積している部位と線維化部位が一致し、このラットにおける肝線維化発症が胆汁酸蓄積と強く関与することが明らかとなった。
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