2010 Fiscal Year Annual Research Report
膵癌Desmoplesiaを制御する薬剤の同定と間質制御による新規膵癌治療の開発
Project/Area Number |
22790652
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
野田 祐紀子 九州大学, 病院, 助教 (10404021)
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Keywords | 膵癌 / 間質細胞 |
Research Abstract |
平成22年度は、desmoplesia増生の原因と考えれる膵星細胞に注目し、まず、膵癌患者より得られる手術切除標本を用いて、ヒト膵星細胞株を10株以上樹立した。樹立したヒト膵星細胞株に対して、desmoplesiaを制御することが期待される薬剤Aを投与したところ、すべての膵星細胞細胞株にて増殖、遊走能、浸潤能の抑制が確認された。薬剤A投与による、膵星細胞でのTGF-β1、b-FGF、PDGF、SDF-1、PDGFA、PDGFB、CTGFなどの増殖因子のRNA発現レベルの変化をRT-PCRで検討したところ、複数の増殖因子が濃度依存性に抑制されることが明らかとなった。desmoplasia関連蛋白のRNA発現の検討を行い、desmoplasiaの増生、膵星細胞の活性化に非常に影響を与えると言われる蛋白質が、薬剤Aにより、濃度依存性に抑制されることを明らかとした。このことにより、薬剤Aにより膵星細胞が抑制され、最終的にdesmoplasiaが抑制されうる可能性が示唆された。今後は、薬剤Aによる膵星細胞のdesmoplasia関連蛋白の蛋白レベルでの発現変化を検討していく予定である。また、膵癌細胞株とヒト膵星細胞株のヌードマウスへの共移植により、ヒト膵癌組織に類似したdesmoplasia形成を伴う膵癌組織が形成されることが知られているが、これらのマウスに薬剤Aを投与し、desmoplasiaの増生の変化を検討していく予定である。
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