2011 Fiscal Year Annual Research Report
NASH病態における炎症性マクロファージ/クッパー細胞と制御性T細胞の関与の解明
Project/Area Number |
22790659
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
横川 順子 順天堂大学, 医学部, 助教 (00453019)
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Keywords | 非アルコール性脂肪性肝炎 / 制御性T細胞 / NASH / Treg / クッパー細胞 / 炎症性マクロファージ |
Research Abstract |
本研究では、非アルコール性脂肪性肝炎の病態下でのCD4+CD25+FoxP3+制御性T(Treg)細胞の役割と、炎症性マクロファージ(M1)/クッパー細胞との関与を明らかにすることを目的として検討を進めてきた。本年度は、メタボリックシンドロームモデル動物であるob/obマウス、db/dbマウス、KK-Ayマウスにおける肝Treg細胞の発現および機能について検討を加えた。肝組織中の単核球を採取し解析したところ、KK-AyマウスではコントロールのC57Bl/6マウスと比較してTreg細胞分画が有意に増加していたのに対し、ob/obマウス、db/dbマウスでは増加を認めなかった。Treg細胞の産生する抗炎症性サイトカイン(IL-4、IL-10,TGF-B)は、ob/obマウス、db/dbマウス、KK-Ayマウスのいずれにおいても亢進しており、Treg細胞個々における抑制機能には差を認めなかった。一方、ob/obマウス、db/dbマウス、KK-Ayマウスの肝組織ではCD11c+F4/80・+胞である炎症性マクロファージ(M1)が誘導されていた。興味深いことに、ob/obマウス、db/dbマウスではCD3+T細胞分画におけるCD4+T細胞分画の割合がC57Bl/6マウスに比較して有意に減少していたのに対し、CD8+T細胞分画の割合は有意に増加していた。脾から採取したリンパ球でも同様の変化であった。一方、KK-Ayマウスでは変化を認めなかった。以上より、ob/obマウス、db/dbマウスでは脂肪性肝炎の進展に関わる炎症性マクロファージ(M1)やCD8+T細胞の肝発現が促進しているにも関わらず、Treg細胞の抗炎症作用が十分機能しないために炎症が拡大進展している可能性が示唆された。さらに、CD4+T細胞とTreg細胞分画の減少は、レプチン欠損であるob/obマウス、レプチン受容体欠損であるdb/dbマウスに特異的に生じていることから、レプチンがこれらの病態に深く関与していると考えられた。
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