2010 Fiscal Year Annual Research Report
心筋細胞分化の段階的DNAメチル化プロファイリングと幹細胞分化能評価ツールの開発
Project/Area Number |
22790730
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小田 真由美 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (80567511)
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Keywords | DNAメチル化 / エピジェネティクス / 細胞分化 / ゲノムワイド / 次世代シークエンサー / 幹細胞 / 細胞種特異的遺伝子発現 / バイオインフォマティクス |
Research Abstract |
本研究計画では、iPS細胞など人工的に作出された幹細胞の分化能を評価する基準を整備するために心筋細胞分化におけるエピジェネティックな変化の筋道となる重要な領域(心筋細胞DNAメチル化ランドマーク領域:CM-DMLR領域)を選出することを目的としている。そのため、22年度は心筋細胞の分化過程における経時的DNAメチル化プロファイルを作るために、培養下での心筋細胞分化誘導系を用いて均一な細胞集団を作製したが、得られた心筋細胞の品質の均一化の評価が必要であると考えられた。そこで、均一性の評価のために生体由来心筋細胞集団DNAメチル化プロファイルを作成した。胎仔期、新生仔期、成体から心筋細胞を精製し、経時的DNAメチル化プロファイルを作成し、非心筋細胞のコントロールとして心臓線維芽細胞のDNAメチル化プロファイルも作成し、比較を行なった。心筋および非心筋細胞の遺伝子発現プロファイルから、遺伝子発現パターンに基づき遺伝子群を分類して比較すると、心筋細胞特異的発現を示す遺伝子群の一部に、心筋細胞特異的に低メチル化状態になる集団が観察された。これらの低メチル化状態は遺伝子発現変化とは独立に新生仔期以降に形成されるため、心筋細胞が成熟する過程におけるエピジェネティック動態を反映していると考えられる。分化後細胞におけるエピジェネティック動態のメカニズムは大変興味深い。これらは本計画の目的とするCM-DMLR領域の候補領域と考えられ、心筋細胞分化および成熟度の評価に利用可能であると期待される。
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