2011 Fiscal Year Annual Research Report
鉄制御を標的とした抗糖尿病作用の分子機序の解明と新規治療因子の探索
Project/Area Number |
22790864
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
池田 康将 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (60432754)
|
Keywords | 鉄 / 肥満 / 糖尿病 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
肥満、糖尿病において生体内鉄量は増加することが報告されており、また内蔵脂肪量と鉄量が相関すること、生体内鉄量は糖尿病発症の危険因子である。我々は前年度に肥満2型糖尿病マウスを用いて鉄キレート剤デフェロキサミン(DFO)による鉄除去によってDFO投与群では耐糖能ならびにインスリン感受性の改善を認め、白色脂肪組織重量と脂肪細胞径の減少を見出した。またDFO投与群においては脂肪組織酸化ストレ界低下とNADPH oxidase componentsであるP22phox発現の低下、炎症性サイトカイン発現の低下も認めた。本年度は、脂肪組織におけるp22phoxと鉄の局在について評価を行った。マクロファージマーカーであるF4/80とP22pho客ならびにFerritin Hの局在は一致しており、浸潤マクロファージは脂肪組織における鉄と酸化ストレスの供給源である可能性が示唆された。また耐糖能とイシスリン抵抗性の改善について、脂肪に加えて骨格筋、肝臓における酸化ストレスマーカーとAkt-IRs経路について検討を行った。骨格筋では白色脂肪と同様にP22phox発現低下とAkt-IRs経路の亢進をみた一方、肝臓ではその変化はみられなかった。以上の結果から、肥満、糖尿病において鉄除去は脂肪組織における酸化ストレスと炎症性サイトカインの抑制ならびにマクロファージ浸潤軽減につながり脂肪細胞肥大を改善すること、その結果、脂肪組織における糖代謝を改善することが示唆され、従来とは異なる作用機序の治療法開発につながる可能性がある。(Am J physiol Endocrinol Metab 2012)。
|