2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22790869
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
小野 啓 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (10570616)
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Keywords | インスリン / LKB1 / 肝臓 / PTEN / Akt / 視床下部 / S6キナーゼ / 摂食 |
Research Abstract |
インスリン抵抗性/糖尿病モデルマウスおよびそのコントロールとして、C57BL6マウス、短期・長期高脂肪食負荷マウス、db/dbマウスを用意し、各種組織において、シグナル伝達分子やその上流の因子が、モデルマウスでどのように変化しているかを、リアルタイムPCRおよびウエスタンブロットを用いて調べた。その結果、興味深いことに、代表的なAMPKのリン酸化酵素であるLKB1の発現が、肝臓において、db/dbマウスにおいて有意に低下していることが分かった。そこで、ベクターを用いて肝臓にLKB1を強制過剰発現したときに、糖代謝がどのようになるかを調べたところ、db/dbマウスにおいてLKB1をレスキューすることにより、空腹時血糖が改善することが示された。この時、Aktおよびその下流のGSK3のリン酸化はLKB1の強制発現において上昇していた。以上のことから、肝臓のLKB1の減少が空腹時血糖値に関与しており、これを補うことで糖尿病が改善しうることが示唆された。さらに、高インスリン血症正常血糖クランプ法を用いて、LKB1をレスキューした際にインスリン感受性が増強するか否かを現在調べている。 また、視床下部S6キナーゼの上流シグナルであるPTENおよびAktをラット視床下部でインターベンションした際に摂食およびインスリン感受性にどのように影響するかを調査した。競合阻害型PTENを視床下部弓状核で強制発現させ同部位でのPTENを抑制すると摂食および体重増加が抑制され、逆に恒常活性型PTENの強制発現では逆の効果がみられた。興味深いことに、高脂肪食の負荷はこの摂食・体重増加に対する影響は消失してしまうが、インスリン感受性に対する影響は(体重が同じであるにもかかわらず)残存しており、視床下部インスリン情報伝達が摂食とインスリン感受性とをコントロールする仕組みは互いに独立している可能性が示唆された。
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Research Products
(7 results)