2011 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄微小環境ニッチによる白血病幹細胞制御機構の解明
Project/Area Number |
22790910
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉山 立樹 京都大学, 再生医科学研究所, 助教 (10456791)
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Keywords | 血液腫瘍学 / 白血病幹細胞ニッチ / 白血病 / ケモカイン / CXCR4 |
Research Abstract |
白血病治療において最も重要な標的である白血病幹細胞は、正常造血幹細胞と表現形および機能的に極めて類似しつつも微妙に異なる性質を持つことが明らかとなってきた。の方、白血病幹細胞は、正常造血幹細胞と同様に特殊な骨髄微小環境(ニッチ)による制御を受けて自己複製、生存をしていると考えられるが、その実体は十分明らかではない。そこで本研究では、正常造血幹細胞維持に必須のCXCL12-CXCR4ケモカインシグナルに注目し、骨髄微小環境における白血病幹細胞の発生、維持における役割を、CXCR4遺伝子欠損マウス白血病モデルを用いて検討し、さらに白血病幹細胞の骨髄微小環境における細胞動態を組織学的に解析することで、骨髄微小環境による白血病幹細胞制御システムを明らかにすることを目的とする。本年度は以下のような成果を得た。 1.慢性骨髄性白血病モデルマウスでは、病気の進行に伴い骨髄のケモカインCXCL12の発現低下など骨髄微小環境に異常をきたすことを明らかにした。 2.この異常な骨髄中で、白血病幹細胞が増加することを明らかにした。 3.さらに骨髄におけるBリンパ球造血が障害され、このときIL-6などの炎症性サイトカインの蛋白濃度が上昇していることを明らかにした。 4.白血病幹細胞を含む未分化白血病細胞の骨髄微小環境における局在およびそのニッチ構造を明らかにした。 本研究から、造血微小環境の異常が慢性骨髄性白血病の病態形成に重要であること明らかにするとともに、白血病幹細胞を維持するニッチ細胞の候補を同定した。これらの結果は、骨髄微小環境が白血病治療法の標的となりうることを示唆し、新たな白血病治療法開発のための基礎をなすものである。
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Research Products
(3 results)