2011 Fiscal Year Annual Research Report
先天性赤芽球癆の原因遺伝子によるオートファジー活性化の解析
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22790922
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
倉光 球 国立感染症研究所, 血液・安全性研究部, 研究員 (00566383)
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Keywords | Anemia / リボソーム / オートファジー / 赤芽球 |
Research Abstract |
平成23年度末までの成果として、DBAの原因遺伝子であるRPS19の返伝子発現が細胞に与える影響の1つとしてオートファジーの誘導を観察した。(1)U2OS細胞やK562細胞でRPS19を発現抑制するとLC3陽性小胞数の増加、II型LC3の発現増加が認められること、(2)U2OS細胞で電子顕微鏡レベルにおいてもオートファゴソームを調べたところRPS19の抑制によってオートファゴソームの発達が認められたこと、さらに(3)Primary骨髄造血幹細胞においてもRPS19の発現抑制によりLC3陽性小胞数が増加することを明らかにした。これらのことからRPS19の発現抑制は、細胞にオートファジーを活性化することを示した。 つまり、リボソームストレスとオートファジーが密接に関わり、赤芽球分化異常へ関与する可能性が考えられた。先天性赤芽球瘍の原因の一つとしてリボソーム異常がオートファジーを活性化し、赤芽球前駆細胞の分化メカニズムに異常を来し、赤血球造血機能を喪失させると考えられる。 特に平成23年度は、in vitroで観察された現象が実際にDBA患者細胞で起こっているか確認するため、患者検体を用いた研究実施環境を整備した。DBAは100万人出生あたり4-7人の頻度であり稀少疾患であることから患者検体の入手が極めて困難な疾患であったが、DBAの遺伝子欠失同定システムを構築し、効果的診断技術を充実させた(Kuramitsuetal.Blood2012)。このことから患者検体の収集状況が著しく改善し、患者検体の入手が比較的容易になった。患者由来造血細胞を用いたオートファジー誘導のメカニズム解析を開始できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DBAの原因遺伝子の発現低下がオートファジーを誘導することをin vitro培養系で確認した。さらに非常に困難であると思われた患者由来細胞を用いたオートファジー誘導の確認についても、遺伝子診断技術を向上させることに成功したことから、検体入手状況が改善し研究の進展が期待された。
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Strategy for Future Research Activity |
in vitroで観察された現象は細胞生物学的には非常に興味深い甚象であると考えられる一方で、赤芽球分化抑制とどのように関わるかという点については明確な答えは得られていない。患者で同様の現象が認められるかについて、患者検体を用いた確認が最も重要であると考えられるため、今後は患者由来細胞での確認に重点を置く必要がある。ただし、稀少疾患であるため検体入手は困難であると考えられるが、研究に必要な検体数の確保は出来ると考えられる。
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Research Products
(2 results)