2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22791032
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
金城 唯宗 九州大学, 大学病院, 助教 (70419539)
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Keywords | ダウン / TAM / 肝線維化 / ケモカイン / CCL2 / TGF-β1 |
Research Abstract |
私たちは、一過性骨髄増殖症(TAM)による肝線維化とCCL2との関連を検討している。2003年以降に当院NICUに入院したダウン症23例中、TAM合併例は13例あった。TAMのhigh riskを、(1)在胎37週未満の早産児、(2)経過中の白血球数10万/μl以上、(3)直接ビリルビン値5mg/dl以上、(4)経過中プロトロンビン時間INR2以上または出血傾向、および(5)腹水の5項目中3項目以上とした。H22年度は血清ケモカイン値を測定し、high risk群、low risk群および非TAM群の3群で比較検討を行い、入院時CXCL8値とCCL2値がhigh risk群で有意に高値であった(CXCL8:p=0.0068, CCL2:p=0.0199, Kruskal-Wallis検定)。また、入院時CXCL10は、high risk群でlow risk群よりも高値であった(p=0.0281, Mann-WhitneyのU検定)。CCL2の肝線維化への影響や、CXCL10のB型肝炎やC型肝炎の病勢への関連性が報告されているが、TAMとの関連性は明らかではない。TAMにおける肝線維化にはplatelet-derived growth factor (PDGF)やtransforming growth factor (TGF)-β1が関与していることが報告されている。そこで、H23年度は血清中TGF-β1を測定した。結果は、入院時血清TGF-β1はTAM症例において、入院時CCL2と有意に正の相関があり、CXCL10は相関傾向がみられた(CCL2:p=0.012,相関係数0.725, CXCL10:p=0.0706,相関係数0.522, Spearmanの順位相関)。TGF-β1とCCL2値との間に正の相関が得られており、TAMの肝線維化にCCL2が関与していることが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
血清TGF-β1をELISAを用いて測定した。正しい検量線を描くことに苦慮し、バッファーの調節、成人や正常新生児でのTGF-β1の測定による測定法の妥当性の検討などにより、やや遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
実際に芽球中のCCL2とTGF-β1のmRNAの発現を検討する。ただし、H22年以降、新規のTAM症例追加がなく、検体の蓄積が滞っている。関連病院と連携して、症例の蓄積を目指す。
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