2010 Fiscal Year Annual Research Report
GABA作動薬は夜間頻尿を改善させるか?-睡眠深度と膀胱機能に関する基礎研究
Project/Area Number |
22791470
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
松田 陽介 福井大学, 医学部, 助教 (90345687)
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Keywords | メラトニン / ゾルピデム / 脳波 / 膀胱 / 睡眠 |
Research Abstract |
平成22年度にはラットで膀胱内圧測定、脳波・筋電図記録を安定的に同時施行する実験手技を確立した。ラットにメラトニン0.01~1mg/kgを経静脈投与し、膀胱容量と膀胱収縮圧、脳波に及ぼす作用を検討したところ、1mg/kg投与時に膀胱容量が投与前と比較して1.5倍と有意に増大したが、膀胱内圧には有意な変化を認めなかった。脳波のδ波(0.5~3.5Hz)、θ波(3.5~7.5Hz)のパワー値にも有意な変化を認めなかった。これらの結果について第17回日本排尿機能学会において発表を行った。我々は以前にメラトニン脳室内投与が膀胱収縮圧を変化させることなく膀胱容量を増大させることを報告したが(J Urol 2010 ; 184 : 386-391.)、末梢投与でも同様の作用を得られ、メラトニンが頻尿治療薬として有用であることが示唆された。近年、メラトニンが抗ムスカリン薬と協調して膀胱収縮を抑制することが報告されており(Urology 2010 ; 75 : 873-878.)、既存の頻尿治療薬と併用する選択肢も考えられた。メラトニン投与で深睡眠を誘導できなかった理由は非生理的な実験環境、使用するメラトニン容量が少量であったためと考察した。しかしながら、睡眠に影響しない量で膀胱容量を増大させ、頻尿治療が可能であるとの解釈も可能と考えた。平成22年度末に高齢ラットを入手することができ、実験計画に則り、若年ラットとの間で作用に差がないかどうか検討中である。
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