2010 Fiscal Year Annual Research Report
前立腺癌高発現タンパク質に対する新規分子標的治療の開発
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22791501
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
鎌田 裕子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (60433984)
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Keywords | 前立腺癌 / 分子標的薬 |
Research Abstract |
前立腺癌は、欧米では罹患率、致死率とも非常に高い悪性腫瘍であり、新たな治療法の開発は急務である。本研究では、新規前立腺癌高発現タンパク質であるStaphylococcal nuclease and tudor domain containing 1 (SND1)や、候補タンパク質であるMinichromosome maintenance complex component 5 (MCM5)、Glucosidase, alpha ; neutral AB (GANAB)を標的とし、これらを抑制する遺伝子や抗体等を結語させたナノ粒子やペプチドワクチンを作製し、その抗腫瘍効果を評価することを目的としている。本年度は、まず、MCM5、GANABの前立腺癌組織での発現を、多検体で検討し、非癌部と比べ癌部で有意に高発現していることを明らかにした。さらに、これらの発現の前立腺癌特異性を調べるために、複数の正常臓器でのmRNA発現を解析した。SND1は、正常前立腺や小脳、精巣で前立腺癌細胞株(LNCaP細胞)の約60~70%の発現を認めた。MCM5は、正常前立腺ではLNCaP細胞の8%と低発現であったが、精巣や胸腺で40~50%の発現を認めた。GANABは、正常前立腺や精巣、腎臓、甲状腺で40~50%の発現を認めた。これらの結果から、今回の標的候補タンパク質の中では、MCM5が最も前立腺癌特異性が高く、治療の標的として適していると考えられる。SND1やGANABは、他の複数の臓器での発現が認められたため、今後の検討ではより特異的に前立腺癌へ運ぶ方法もあわせて検討する必要があると考えられた。
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