2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22791536
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
津野 晃寿 大分大学, 医学部, 助教 (30457634)
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Keywords | 子宮内膜症 / 瘢痕化 / Fasudil / collagen gel |
Research Abstract |
子宮内膜症は、癒着や瘢痕化を特徴とし、その結果、不妊症や慢性骨盤痛等の症状が出現する。私は、tissue remodelingの観点から子宮内膜症における瘢痕形成について検討し、正常子宮内膜間質細胞に比べて子宮内膜症間質細胞のcontractilityは増強しており、より瘢痕化しやすいことを報告してきた。Fasudildihydrochlorideは、Rho-kinase(Rock)inhibitorであり、従来より血管拡張薬としてクモ膜下出血後の脳血管攣縮に使用されている。子宮内膜症による瘢痕化に対するFasudilの有効性について子宮内膜症性間質細胞のcollagen gel三次元培養法を用いて検討した。卵巣子宮内膜症性嚢胞の手術時(n=5)に、文書による患者の同意を得て嚢胞壁を採取し、子宮内膜症性間質細胞を分離・培養した。Type I collagen溶液内に6×105cell/mlの細胞濃度になるように子宮内膜症性間質細胞を懸濁した。37℃で2時間培養してgel化させた。Tappingしてcollagen gelをdishから浮遊させ、Fasudil dihydrochloride(1-100μg/ml)を添加し、10%血清存在下で培養した。48時間後にgelの表面積を測定した。さらにcollagen gelの収縮メカニズムについて解明するため、瘢痕形成の際に生じるmyofibroblastのマーカーであるα-smooth muscle actin(α-SMA)及びcontractilityに関与するRhoA、ROCK1、ROCK2の発現をwestern blot法を用いて検討した。細胞増殖能はBrdu取り込みにより評価した。Fasudil dihydrochlorideの添加により、濃度依存性にcollagengelの収縮は抑制された。また、Fasudil dihydrochlorideの添加によりα-SMA、ROCK1、ROCK2の蛋白発現が著明に抑制され、細胞増殖能は71%に抑制された。Fasudil dihydrochlorideはα-SMA、ROCK1、ROCK2の発現を抑制することにより、子宮内膜症性間質細胞のmyofibroblastへの分化とcontractilityを抑制すること、細胞増殖を抑制することが判明した。Fasudil dihydrochlorideは、子宮内膜症の瘢痕を標的とした薬剤として有用な可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)