2011 Fiscal Year Annual Research Report
嗅神経細胞の発生・再生におけるネクチン・ファミリーを中心とした分子機構の解明
Project/Area Number |
22791599
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
勝沼 紗矢香 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (80457043)
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Keywords | 嗅上皮 / 接着分子 / 発生 / 再生 / ネクチン |
Research Abstract |
平成22年度までに、マウス嗅上皮の発生・再生において、嗅上皮を構成する嗅細胞と支持細胞が成熟に伴ってその形を変化させ、頂端面側の細胞配列が変化していく過程を観察してきた。このような細胞の運動や形態変化には細胞接着分子が深く関与することが知られており、とりわけ重要な分子としてカドヘリンの他にネクチンが挙げられる。平成23年度は、嗅上皮頂端面側の細胞移動における接着分子の役割に着目して研究をすすめた。まず、嗅上皮におけるカドヘリンとネクチンの発現を蛍光免疫染色の手法を用いて観察した。その結果、嗅上皮を構成する支持細胞と嗅細胞では異なるタイプのカドヘリンとネクチンが特徴的なパターンで発現していることが明らかになった。続いて嗅上皮頂端面側の細胞移動においてこれらの接着分子がどのように関与しているか検討するために、嗅上皮発生過程におけるカドヘリンとネクチンの局在を蛍光免疫染色の手法を用いて観察したところ、ネクチンの発現が経時的に変化することが明らかになった。そこで、嗅上皮におけるネクチンの働きを検討するため、ネクチンノックアウトマウス嗅上皮の形態を解析した。ネクチンノックアウトマウス嗅上皮では、発生初期に観察されるような接着した嗅細胞が成熟嗅上皮でも多数観察され、嗅細胞と支持細胞の頂端面側の細胞配列にネクチンが寄与していると考えられた。また、嗅上皮再生過程における接着分子の役割を解析するために、嗅上皮傷害モデルマウスを用いて解析を行った。嗅上皮再生過程ではネクチンが嗅上皮構成細胞の側面にも局在しており、嗅上皮再生おいて接着分子ネクチンが関与していることが示唆された。
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