2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22791613
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
吉福 孝介 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (70381168)
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Keywords | 好酸球性副鼻腔炎 / 鼻茸線維芽細胞 / VEGF / EOTAXIN / デキサメタゾン |
Research Abstract |
好酸球性副鼻腔炎に対してはステロイドの全身投与が有効であることがわかっているものの、これに代わる内服治療は現時点で存在せず、難治性の疾患である。Vascular endothelial groeth factor (VEGF)は鼻茸において毛細血管や基底膜の透過性を調節し、浮腫や鼻茸の増大に関与しているといわれており、好酸球浸潤の多い鼻茸における好酸球の遊走活性にeotaxinが重要な役割を担っているということを、以前当教室から報告させていただいた。今回、好酸球浸潤の多い鼻茸Enp ; Eosinophilic Nasal Polypと少ない鼻茸NEnp ; Non-Eosinophilic Nasal Polypにおいて鼻汁中および鼻茸由来線維芽細認から分泌されるVEGF Eotaxinを測定し、その相違を検討することと、鼻茸由来線維芽細胞から分泌されるVEGF、Eotaxinに対するステロイドによる抑制効果を調査することを目的とした。 方法(1)鼻汁採取しPBSで攪拌後に遠心分離を行い、上清をELISAにて測定した。方法(2)第3世代ヒト鼻茸由来線維芽細胞を使用した。細胞を24Wellにまき、48時間後にDEX(10^<-6>mol,10^<-10>mol)にて前処置を行った。その後、24時間培養後にTNF-α+IL-4またはLPSにて刺激を行い、24時間後に上清を採取しELISAにて測定した。 結果(1)EnpはNEnpと比較して有意に鼻汁中VEGF濃度が高い結果であった。結果(2)Enp群ではNEnp群と比較して、Eotaxin産生は有意に上昇していた。また、両群ともにステロイドによりEotaxin産生は抑制された。結果(3)両群間でVEGF産生に差を認めず、EnpではNEnpと比較してLPS刺激によるVEGF産生は有意に上昇していた。両群ともにステロイドによりVEGF産生は抑制された。 考察およびまよめ)鼻汁中VEGF濃度はEnpで有意に高く、鼻茸線維芽細胞からのEotaxin産生は、有意に高い結果であった。このことからEngでは、鼻汁中のVEGF濃度が高くなり鼻茸の出現しやすい環境であり、鼻茸が発生すると、鼻茸線維芽細胞からのEotaxin分泌が亢進し、好酸球を引き寄せ好酸球浸潤が多くなるのではないかと考えられた。また、ステロイド投与は、炎症刺激に反応した鼻茸線維芽細胞からのVEGF産生を抑制し鼻茸の増殖を調節していると考えられた。
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