2010 Fiscal Year Annual Research Report
骨細胞・骨細管系による破骨細胞性骨吸収と骨細胞の生存・死滅の調節機構
Project/Area Number |
22791760
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 礼子 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 専門研究員 (90333723)
|
Keywords | 骨細胞 / 細胞・組織 / 破骨細胞 / 破骨細胞 / 歯学 |
Research Abstract |
本年度の研究は、破骨細胞の骨吸収に伴って、骨基質に包埋されている骨細胞が破骨細胞によって取り込まれ、そのまま消化・分解されてしまうのか、あるいは、骨小腔から抜け出してきて、その後にもう一度、骨芽細胞系の細胞として機能するのか解明することが目的である。それを明らかにするために、オステオプロテジェリン(OPG)遺伝子欠損マウスを用いて上記の解明を試みた。OPG^<-/->マウスは破骨細胞が活性化しており活発な骨吸収を行う環境を示すため、骨吸収が激しい状態での骨細胞の生存・死滅を高い頻度で組織化学的に観察できると考えられる。その結果、OPG^<-/->マウスでは、多くの骨細胞が濃縮したり、死滅してしまったために空の骨小腔を示していること、さらにDMP-1とsclerostinの発現が低下していることが明らかにされた。電子顕微鏡で観察すると、骨改造を活発に受けた骨基質から骨細胞が生理的に骨小腔から抜け出ることは難しく、多くの場合には、網目状に張り巡らされたセメントラインによって細胞ダメージを受けていることが強く示唆された。さらに骨細胞が産生する蛋白であるDMP-1の発現は著しく低下しており、その原因として、DMP-1は骨細管系の不規則性や細胞死に依存しており、強いダメージを受けた骨細胞のDMP-1産生が低下すると推測された(BioMed.Res,2010)。現在、次の実験として、PTH投与で破骨細胞活性を上昇させる一方、骨形成も亢進させた場合の骨細胞の生存・死滅、ならびに破骨細胞との細胞形態学的関連性について解析を進めている。
|