2010 Fiscal Year Annual Research Report
シェーグレン症候群のT細胞系免疫異常におけるIL-18およびTh17の役割
Project/Area Number |
22791806
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
酒井 梓 東北大学, 病院, 医員 (90463778)
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Keywords | シェーグレン症候群 / Th17 / IL-18 / 唾液腺 / サイトカイン |
Research Abstract |
免疫異常の観点からシェーグレン症候群に関する数多くの研究が報告されている。しかしながら、本疾患は他の多くの自己免疫疾患と同様に、病院および病態の発現機序の詳細は未だ不明であり、治療方法は確立されていない。本研究は、新しいHelper-T細胞サブセットであるTh17細胞を含めた、T細胞系免疫異常が関与する唾液腺の病態発現機序を解明し、本疾患の予防ならびに治療方法の確立を目指すものである。本研究期間内に明らかにする主なポイントは次の3点であった。(1)シェーグレン症候群患者の唾液腺に由来する唾液腺上皮細胞の分子生物学的特徴(2)シェーグレン症候群患者の唾液腺に由来する唾液腺上皮細胞におけるIL-18とIL-17の相互作用(3)シェーグレン症候群の唾液腺組織におけるT細胞系免疫異常に関する各種炎症メディエーターである。 本年はシェーグレン症候群患者者の唾液腺に由来する唾液腺上皮細胞の分子生物学的特徴を解析する予備実験として、健常ボランティア5名から下唇小唾液腺を採取・培養し、唾液腺由来細胞におけるIL-18およびIL-17の相互作用の検討を行った。唾液腺由来細胞をIL-18とIL-17で共刺激することによって、IL-8の産生に変化を示すことが明らかとなった。唾液腺由来細胞にはこの共刺激によってIL-8の産生が相乗的に増加する細胞と、相乗効果なく増加する細胞があった。この細胞間の違いを解明するためにドナー数を増やし詳細を検討中である。これまでの検討から、唾液腺が発現するIL-18がシェーグレン症候群の腺組織に浸潤するTh17細胞から産生されたIL-17と共同して、唾液腺細胞からの炎症メディエーターの産生を誘導することにより、T細胞の分化誘導および成熟や増殖を促進し唾液腺組織に病態を発現する可能性を考えている。
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