2010 Fiscal Year Annual Research Report
歯科用可視光線照射器の歯髄に対する影響の是非をめぐるエビデンスの探究
Project/Area Number |
22791848
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
吉野 文彦 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (20308307)
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Keywords | 歯科用可視光照射器 / 血管収縮 / 活性酸素種 / ノルアドレナリン / 一重項酸素 / ヒドロキシルラジカル / スーパーオキシド |
Research Abstract |
これまで,チェアサイドで頻用されている歯科用可視光線照射器は,歯質や歯髄に与える影響についての検討を行ったものはない。とくに,歯髄には、様々な刺激を脳へ伝達する神経と共に,無数の毛細血管が存在し,歯に栄養と酸素を供給する重要な役割を担っている。したがって,歯科用可視光線照射器による光照射が歯髄に与える変化や影響について検討する目的で以下の実験を行った。 【実験1】光照射器により生成される活性酸素種(ROS)の解析 Krebs-Ringer溶液中にハロゲン光源による光照射を行ったところ,電子スピン共鳴法による測定ではROSの検出は認められなかった。 【実験2】光照射による歯髄循環量変化測定 歯髄循環量の変化をレーザードップラー法により測定し,歯髄循環に対する光照射の影響を検討した結果,照射器の中心波長である470nmがレーザードップラー検出において干渉が認められ,レーザードップラー法による歯髄循環量の測定が困難であった。したがって,歯髄循環への影響を検討するため,摘出血管(ラット大動脈)を用い,以下の表面潅流法により光照射による血管反応の測定を行った。 表面潅流法により,歯科用可視光照射器(ハロゲン光源)を用いた光照射は摘出血管を収縮させた。また,光照射による血管収縮は非特異的ROSの抗酸化剤であるアスコルビン酸および一重項酸素(1^O_2)の消去剤(L-histidine),ヒドロキシルラジカル(HO^・)の消去剤(dimethyl sulfoxide),スーパーオキシド(O_2^<・->)の抗酸化酵素(superoxide dismutase)により抑制された。加えて,収縮反応がノルアドレナリン依存性反応か検討する目的で,α-受容体拮抗薬であるPhentolamineを実験系に添加したところ収縮反応の抑制が認められた。 以上の結果より,歯科用可視光照射器による光照射は歯髄血管を収縮させ,この収縮はノルアドレナリン依存性であり,また収縮反応および自律神経終末からのノルアドレナリン遊離促進には1^O_2,HO^・,O_2^<・->の各ROSの関与が示唆された。
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Research Products
(6 results)