2010 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌転移モデルに対する磁場誘導組織内温熱免疫療法
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22791971
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 憲幸 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (60378156)
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Keywords | 温熱療法 / 樹状細胞 / マイルド加温 / 扁平上皮癌 / 腫瘍転移モデル |
Research Abstract |
ラビットの舌癌転移モデルを使用予定であったが、まずは磁場誘導組織内加温法および免疫細胞療法の併用における腫瘍原発層および転移層に対する効果をより簡便に判定するために、マウスをモデルとして用いた。腫瘍細胞はマウス扁平上皮癌細胞株SCCVIIを用いた。SCCVIIは極めて免疫原性の低い腫瘍であり、特異的免疫の誘導が難しいとされる。培養SCCVIIからheat shock protein(HSP)70を効率的に産生させるのは、Western blottingの結果から43℃30分加温(HT)の24時間後であった。免疫細胞療法には強力な抗原提示細胞である樹状細胞(DC)を用いた。上記の方法でHSP70を高発現させたSCCVII細胞をDCと共培養させたところ、他の癌腫での報告とは異なり、CD80、MHC class IIの発現は亢進せず、DCは成熟化しなかった。しかし、それに加え、共培養後41℃30分のマイルドに追加加温(mHT)することによりDCの成熟化が誘導された。この効果の確認のため、in vivoにおける実験も行った。マウスの右側背部に皮下腫瘍を作成、その5日後に左側背部にも皮下腫瘍を作製した。無治療、HT+DC、HT+mHT、HT+DC+mHTの4つの群を設定し、左側は転移モデルとし、右側腫瘍局所のみ治療した。HTおよびmHTは腫瘍局所に注入した磁性微粒子(MCL)に磁揚を与えることで行い、DCは腫瘍局所に注入した。結果、HT、DC、mHTの3つを併用することにより、治療側だけでなく非治療側腫瘍の増殖抑制効果、腫瘍への特異的リンパ球浸潤の増加、延命効果が確認された。ここまでの研究の意義は、腫瘍特異的免疫を効率よく誘導するためにHT、DC、mHTを併用することが効果的であることが証明されたことである。
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