2011 Fiscal Year Annual Research Report
ラット顎骨における硬組織局所的損傷時における歯の移動促進効果の解析
Project/Area Number |
22792034
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西村 真 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (50375094)
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Keywords | 顎変形症 / 歯の移動促進 / 矯正 / 骨損傷 / RAP |
Research Abstract |
硬組織に局所的な外科的侵襲を与えた後に、歯の移動を開始することで、外科的矯正治療を大幅に短縮することができるという仮説を、ラットを用いた頭頂部骨損傷モデルを用いて検証した。 7週齢のWistar雄性ラットを用いて、頭頂骨に直径1.5mmのホールを作製、硬組織へ外科的侵襲を与えた。外科的侵襲直後から21日間の矯正的歯の移動を行なった群を実験群とし、シャムオペを行い21日間の歯の移動を行なった群を対照群とした。手術は、全身麻酔下にて行なった。21日間の歯の移動は、ラット第一臼歯を口蓋側へ移動させるように0.012-inchのニッケルチタン系ワイヤーで作製した矯正装置を用いて行なった。歯の移動期間中、0,3,7,10,14,17および21日目にシリコーン印象剤にて上顎歯列の印象を採得した。採得した印象から超硬石膏を用い、上顎歯列模型を作製した。また、歯の移動期間中、両群のラットの体重に大きな減少は認められず、実験期間順調に増加した。歯の移動量の計測のために、1200pixel/inchの解像度にて、各上顎歯列模型の咬合面をスキャンし、上顎第一臼歯近心口蓋咬頭頂間距離を計測した。10倍に拡大した画像を用いてコンピューターを用いデジタル計測を行った。21日間の歯の移動期間中、0~7日目までは、対照群と比較し実験群の歯の移動量が大きかったが、その後対照群の歯の移動量が大きくなった。21日間の歯の総移動量は、実験群が0.859mm、対照群が0.868mmであった。重複測定-分散分析法: tow-way repeated measures ANOVAを用いて統計学的検討を行なったが、実験群と対照群の間に統計学的な有意差は認められなかった。また、Student's t-testを用いた各印象採得日における歯の移動量でも両群に統計学的な有意差は認められなかった。21日目のHE染色を施した組織学的所見において、実験群と対照群の間に定性的な差は認められなかった。
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