2010 Fiscal Year Annual Research Report
難治性筋疾患制圧を目指したRNA干渉を用いた筋機能回復機構の解明
Project/Area Number |
22792055
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
川合 暢彦 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (40437588)
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Keywords | 筋ジストロフィー / マイオスタチン / RNA干渉 / 筋電図 / 咀嚼筋 |
Research Abstract |
筋線維の壊死を主病変とする進行性の遺伝性筋疾患である筋ジストロフィーは予後がきわめて悪く、効果的な治療法の開発が待たれている。本研究は、筋ジストロフィーモデルマウスにマイオスタチン特異的siRNAを投与し、RNA干渉(RNA interference)による骨格筋量制御法の有効性を確立することを目的としている。本年度はmdxマウス咀嚼筋の組織学的検索と終日咀嚼筋活動解析により、筋ジストロフィーによる筋機能障害の実態を明らかにすることを目的とした。 実験には25週齢のC57BL/6野生型雄性マウスと筋ジストロフィーモデルマウス(mdxマウス)それぞれ10匹を使用した。筋活動の測定にはテレメトリー長時間自動計測システムを使用した。全身麻酔下で筋電図記録用送信器をマウス背部に埋め込み、電極を右側咬筋浅層に埋入し、終日におけるバーストの総持続時間の割合(duty time)を算出した。5%と50%の両レベルにおいてmdxマウスが野生型マウスに比べ有意に高い活動を示した(5%:p<0.01;50%:p<0.05)。 筋活動測定後、マウスを屠殺し咬筋浅層を摘出した。次いで、厚さ10μmの凍結切片を作製し、H-E染色を行い筋線維断面積を求めた。筋重量および筋線維断面積ともにmdxマウスが野生型マウスに比べ有意に(p<0.01)小さい値を示した。 以上より、筋ジストロフィーモデルであるmdxマウスでは骨格筋の正常な発育が阻害された結果、機能的に補うため筋活動量が増加していることが明らかとなった。今回の研究結果を踏まえ来年度は、mdxマウスにsiRNAを導入しRNA干渉によるマイオスタチン遺伝子の抑制効果を検討することで、RNA干渉を用いた筋機能回復機構を明らかにして行きたい。
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