2011 Fiscal Year Annual Research Report
視線計測と思考過程からみた熟練看護師の危険予知行動
Project/Area Number |
22792137
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
大黒 理惠 東京医科歯科大学, 大学院・保健衛生学研究科, 助教 (70510345)
|
Keywords | 危険予知行動 / 眼球運動 / 筋活動 / 認識 / 看護師 |
Research Abstract |
本申請では看護活動時の観察力や危険予知力と筋活動の関係を知るために、アイカメラで眼球運動を、筋電図で筋活動を測定し、観察から看護技術実施までの視覚情報の取り込みとその認識、それを反映した行動を明らかにすることを目的とし実験を行った。 平成23年度は、平成22年度に行った実験成果の学会発表と実験を行った。実験は、処方箋を欠落領域なくバランスよく見るために、確認中に「何を見ようとして」「何を見たのか」という見る視点と視線動線の関係に着目し、処方箋確認時の眼球運動を変化させるような意識の在り様を明らかにすることを目的に行った。公募に応じた看護学生10名と看護師5名の15名を対象に、モニター画面に映し出された模擬処方箋を任意の時間だけ確認してもらった。さらに、事前に見ようと思った領域(以下、注目点)、確認中に考えたことを紙面で質問した。 対象者全体の確認時間は44.1±21.4秒であり、領域では6.9±1.4領域を注視し、領域別では薬剤名が多く、薬剤部確認者印は最少であった。注視回数は48.7±25.1回、注視時間は28.9±16.2秒、視線の動きは132通りあり、薬剤名と他領域の往復が51.5%と最多で、見返しは21.2%あった。確認前の注目点は77領域挙げられ、実際の注視領域の一致率は85.7%であり、用量、薬剤名、処方日数の順に多かった。これらの結果に、看護学生と看護師の差はなく、注目点に5Rに相当する患者名、薬剤名、用法、用量を挙げることや注目点の数との関連も見出せなかった。 確認中は全員が何らかの考えを巡らしており、「まんべんなく見る」ことは眼球運動に影響しなかったが、「漠然と見た」者は余白の注視が有意に少なかった。また、確認中に処方箋情報を統合して患者の状態や過去の確認場面を想起した者は、領域別の注視回数の割合に差があり、薬剤名に集中した注視ではなく、領域全体をバランスよくみていた。
|
Research Products
(3 results)