2011 Fiscal Year Annual Research Report
補完・代替療法に取り組むがん患者への看護支援モデルの開発と精練
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22792173
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
楠 潤子 千葉大学, 大学院・看護学研究科, 助教 (30554597)
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Keywords | 看護学 / がん看護 / 補完・代替療法 |
Research Abstract |
本研究の目的は、補完・代替療法(以下CAMとする)を利用するがん患者の取り組みを縦断的に明らかにし、患者に対する具体的で継続的な看護支援モデルを開発・精練し、CAM利用者のQOLを向上させることである。平成23年度の計画は、がん患者のCAMへの取り組み、およびCAMを利用するがん患者への臨床看護実践を明らかにすることを通して看護援助を開発することであり、以下の成果を得られた。 1.フィールドである病院外来において、通院しているがん患者の研究への参加協力を得るために、外来主治医を通して研究者が独自に作成したアンケートを計50部配布した。アンケートは15名から回収され(回収率30%)、うち本研究の説明を受ける意思があると答えたものは4名であった。また、アンケートの回答から、CAMを利用しているものは7名(約47%)、その内容は、栄養補助食品、菜食主義、運動療法、園芸療法、音楽療法、指圧、マッサージ、リフレクソロジー、鍼灸、温泉療法等であった。 2.研究対象となった4名は、すべて男性であり、平均年齢は69.8歳(58歳~82歳)、外来にて診察を受けている疾患は、胃がん(1名)、大腸がん(3名)であった。胃がんの1名は抗がん剤内服中であり、大腸がんの3名は経過観察中であったが、すべてものが手術および化学療法を受けた経験があり、うち2名は放射線療法を受けた経験があった。 3.2の対象者に対し、研究者が作成したインタビューガイドに基づき半構造化面接を実施し、得られたデータを質的帰納的に分析した。その結果、<がん罹患により変化した身体機能を考慮してより健康に戻れる方法を選び実践する><自分に必要なつとめや趣味を通して精神的な落ち着きを得る>等、18に分類された「がん患者のCAMへの取り組み」が得られた。 4.「CAMを利用するがん患者への臨床看護実践」を明らかにするために学術集会に参加し、看護師のCAMに関する経験における困難等の最新の知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度の計画では、.がん患者のCAMへの取り組みおよびCAMを利用するがん患者への臨床看護実践を明らかにする予定であったが、外来主治医を通しアンケートを配布することによって実施した研究対象者(通院がん患者)の募集に時間がかかったため、がん患者からのデータ収集が長期間に及び、分析が遷延し、CAMを利用するがん患者への臨床看護実践を明らかにするところまで至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
原則的に当初の計画通りに推進する。CAMを利用するがん患者への臨床看護実践については、可能な限り文献検討で明らかにし、フィールド調査の必要性を再検討する。フィールド調査を実施する必要性がある場合は、調査内容を精選し、短期間で十分なデータが得られるように調査方法を工夫する。さらに、フィールド調査を非学事期間(学生の長期休暇期間)に効率的に実施できるよう、倫理審査への申請等を計画的に行う。
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