2012 Fiscal Year Annual Research Report
補完・代替療法に取り組むがん患者への看護支援モデルの開発と精練
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22792173
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
楠 潤子 千葉大学, 看護学研究科, 助教 (30554597)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 看護学 / がん看護 / 補完・代替療法 |
Research Abstract |
本研究の目的は、補完・代替療法(以下CAMとする)を利用するがん患者の取り組みを明らかにし、患者に対する具体的で継続的な看護支援モデルを開発・精練し、CAM利用者のQOLを向上させることである。平成24年度の計画は、「がん患者のCAMへの取り組みを支える看護援助を開発する」ことであり、以下の成果を得られた。 1.前年度までに収集したデータを詳細に分析し、①体調の変化を敏感に察知して実践の継続を査定する、②がん再発の事実を受けとめ実践している方法を再評価する、③他から得た情報を吟味して納得した方法を取り入れる、④がん罹患により変化した身体機能を考慮してより健康に戻れる方法を選び実践する、⑤人生経験で得た健康に関する信念に基づいて実践する方法を精選する、⑥同じ効果が得られるのであればより身体に負担のない方法を選択する、⑦日常生活のなかで無理なく継続できることを習慣にする、⑧自分に必要なつとめや趣味を続け精神的な落ち着きを得る、など9の「がん患者のCAMへの取り組み」を導いた。さらに、患者の取り組みを支える本質となることは、〈心身の実感〉、〈獲得した知恵〉、〈無理のない継続〉であり、がん患者のCAMへの取り組みを支える看護援助の柱となることは、【患者自身がCAMによる心身の変化を実感できるよう助ける】、【健康に関する信念と新たに獲得したCAMに関する知識が統合され調和した生活を過ごせているか確認する】、【無理なくCAMを取り入れる生活をともに考える】であると考察した。 2.「CAMを利用するがん患者への臨床看護実践」を明らかにするために文献検討を行うと同時に、海外の学術集会に参加し、看護として積極的に活用可能なCAMの実践方法および、その効果の評価に関する知見を得た。一方、自身でCAMに取り組んでいる患者に対する看護実践については、経験上の困難が多くあることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度の計画は、がん患者のCAMへの取り組みを支える看護援助を開発することであった。前年度までの調査結果を詳細に分析し、看護援助の柱となるものを導くことができたが、具体的方法を開発するまでには至らなかった。その理由としては、計画通り実施した文献検討において具体的方法の開発に活用できる知見がほとんどなかったこと、具体的方法の開発に必要な新たな調査方法として、計画していた看護師に対する調査では不十分であり、多職種に対する大規模な調査方法を詳細に検討する必要があると考えたためである。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画を以下の通り変更する。今年度までの成果から、本研究の最終的な目的である「CAMに取り組むがん患者に対する具体的で継続的な看護支援モデルを開発する」には、患者の取り組みについての調査結果に加え、看護師だけではなく患者を取り巻く多職種がCAMに関してどのような認識をもち、どのような実践をしているかを明らかにした上で、臨床看護実践の方法について考案する必要があると示唆された。したがって、多職種に対するフィールド調査の実施準備を計画する。計画が円滑に実行できるように、質問紙を用いた統計学的調査の経験のある研究者に支援を受け、調査内容を精選し、短期間で十分なデータが得られるような調査方法を工夫していく。
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