2012 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性腸疾患患者を対象とした患者主体の自己管理アプローチの開発と予備的介入研究
Project/Area Number |
22792175
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 真琴 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50431763)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 看護学 |
Research Abstract |
本研究は、炎症性腸疾病(IBD)患者および専門家とともに、患者主体の自己管理アプローチを開発し、小規模の予備的調査において、その実施可能性を評価するとともに、患者のQOL、自己効力感や疾患活動度への影響を評価することを目的に、以下を4年間で実施する計画を立てた。 1.IBD患者、専門医等へのインタビューの分析結果をもとに患者主体の自己管理アプローチで用いるツールを作成する。 2.IBD患者、専門家、介入実施者へのヒアリングをもとに、自己管理支援プロトコールを作成する。 3.小規模介入研究の際に使用する評価尺度を検討する。 4.前後比較による小規模介入研究(対照群なし)を実施し、実施可能性、有用性を検討する。 平成24年度は、これまでに行ったインタビューの分析、体調悪化時の対処に関する医師の認識調査および患者アンケート調査の分析を行い、学術雑誌および国際学会等で成果の発表をした。患者調査では、クローン病および潰瘍性大腸炎患者が悪化を認識した際に患者自身が行っている対処およびその有効性の認識を明らかにした。その結果、両疾患ともに悪化認識時の対処として食事や休息といった日常生活の調整をするものが多く、あらかじめ医師から得ている薬の使用をするものは少なかった。クローン病患者は、食事を抜く、成分栄養剤を増やすといった対処を有効と認識していたが、潰瘍性大腸炎患者は生活の調整といった対処の有効性の認識は低く、使用者は多くないものの局所剤の使用は有効性認識が高いことが明らかとなった。全国の炎症性腸疾患診療経験豊富な専門医を対象としたアンケート調査では、悪化時の対処として患者に薬剤の増量・追加指示を出すことの必要性の認識し、実際に患者によって個別に指示を出していた医師がほとんどであった。指示の内容としては、潰瘍性大腸炎に対し、網のサリチル酸製剤局所療法の追加指示が最も多かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、インタビュー調査の後に自己管理支援プロトコールを作成する予定であったが、インタビューの結果、作成前に現状を詳細に把握する必要性が高いことがわかり、患者アンケート調査および医師アンケート調査の手順を追加した。したがって当初の予定よりやや遅れたが、これにより貴重な知見が得られ、本研究の臨床上の有用性も高まると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、IBD患者主体の自己管理アプローチを開発し、小規模予備的介入研究を実施し、臨床において今後実施可能な支援を検討することが目的ある。 当初は、日常生活全般についてのプロトコール作成を検討していたが、インタビュー調査、アンケート調査を経てまずは、潰瘍性大腸炎については服薬管理が最重要課題であるため、服薬アドヒアランスを高める支援、および悪化時の対処指示に焦点を当て実施してゆく。
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