2011 Fiscal Year Annual Research Report
日本の生体移植医療へ「独立したドナー権利擁護」を導入するためのモデル構築
Project/Area Number |
22792184
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
永田 明 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (30401764)
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Keywords | 生体肝移植ドナー / 独立したドナー権利擁護 / インフォームド・コンセント |
Research Abstract |
生体肝移植ドナー経験者10名からの聞き取りで,医師からの手術前の説明は,「レシピエントが助かる確率が重要」「自分は死んでもかまわないと思った」という理由から,レシピエントの生死に関わる情報のみが記憶に残り,自らの詳しい説明の内容は記憶にないと語ったドナーが多い。その為,手術の後に傷の大きさや形,ドレーンの存在でショックを受けたが,自分が選択したことだから引き受けるしかないと諦めていた。 日本肝移植研究会の「生体肝移植ドナーの前提条件」では,「生体肝提供(ドナー)手術とそれに付随する危険性を充分理解しており,危険度を理解した上での提供であることを手術チームの構成員とは別の施設内組織あるいは医師が確認している」となっているが,この前提条件が遵守されているのか?現在,国内の施設で行われている生体肝移植ドナーに対しての医療は倫理的に問題がないのかを検討したいと考え,国内の死生学・倫理学の専門家と研究結果を提示した上で,ディスカッションを行った。 ディスカッションの結果,本研究の結果明らかになった現在の生体肝移植ドナーの権利擁護は十分になされていないという結論であった。しかし,生体肝移植ドナーの家族への思いを考慮するとアメリカ型の「独立したドナー権利擁護」の方法はこくないにはそぐわず,日本の文化にあった方法を確立すべきだという意見が得られた。そのヒントとしては,研究者が行ったドナーの話を十分に聞くという存在を各施設に設置することが良いのではないかという結論に至った。
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