2011 Fiscal Year Annual Research Report
小児が共有する玩具における適切な衛生管理方法の検討
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22792235
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Research Institution | Nagano College of Nursing |
Principal Investigator |
中畑 千夏子 長野県看護大学, 看護学部, 助教 (60438174)
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Keywords | 小児看護 / 衛生管理 / 感染予防 |
Research Abstract |
これまでの研究において、小児が共有する玩具ではある一定の細菌汚染が明らかとなっているが,具体的な菌種の同定については検討されていなかった,したがって平成23年度は保育所の園児が実際に使用した玩具に付着した具体的な細菌の同定をすることとした。さらには明らかとなった細菌の特徴から、適切な衛生管理の方法を検討することとした。 その結果、今回検出された細菌はいずれも健康人に対して通常は非病原性とされる細菌であった。 従って、健康な小児においてはこれらが付着した玩具の使用によって感染症を発生する可能性は低いと考えられるが、抵抗力の著しく低下した小児では日和見感染を起こす可能性もある。 また、特にヒトの常在細菌として分布するStaphylococcus属が最も多かったことから、玩具の使用に伴って小児の持つ常在細菌が、玩具に高い頻度で移行したと考えられる。このことから小児が病原性を有する細菌を保有していた場合、常在細菌と同様に病原性の高い細菌も玩具に移行する可能性があると考えられるため,小児が共同使用する玩具が間接的な接触感染の媒介物となる危険性があるといえる。 特に感染症の流行期においては玩具の衛生管理を徹底するべきであることが明らかとなった。 さらに具体的な衛生管理方法については、今回の実験において分離された細菌はいずれも一般的な消毒薬が効きやすいものであり、低水準もしくは中水準の消毒薬によるふき取り等が適切であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小児が共有する玩具に付着する菌種の同定については、当初の計画以上に進展しているものの、この過程には時間を要するため、現段階では具体的な衛生管理方法の検討については必ずしも十分ではない。しかしながら、最終年度である平成24年度はこの内容に関する検討に着手する予定であり、この研究を達成できる目途がたっている。
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Strategy for Future Research Activity |
小児が共有する玩具の衛生管理に関する適切な方法を示すためには、今回のような一定の条件下における実験的研究のみならず、小児が共同生活を営む場、たとえば保育園や幼稚園等における玩具の使用方法や衛生管理の実施状況を鑑みた上で、現実的に実施が可能な方法を考える必要がある。この点については今年度の課題とし、検討する予定である。
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