2012 Fiscal Year Annual Research Report
相互主体的関係性を基盤とした“脆弱な高齢者の主体的ケアニーズ”評価ツールの開発
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22792252
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Research Institution | Chiba Prefectural University of Health Sciences |
Principal Investigator |
鳥田 美紀代 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 講師 (50325776)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 脆弱な高齢者 / 主体的ケアニーズ / 相互主体 / 評価ツール |
Research Abstract |
本研究では、これまでの先行研究の検討から、高齢者(特に、身体的な脆弱性をもつ高齢者)のケアニーズは、高齢者と看護師双方の主体性の発揮があって初めて捉えられるものであるとし、高齢者と看護者の相互主体的関係性をケアにおける関係性の基盤に据えるという立場に立っている。 本年度は、この検討結果に基づき、高齢者と看護師の相互主体的関係性を明らかにすべく調査を実施した。1.高齢者の主体的ケアニーズをくみ取るための基盤となる看護師と高齢者の相互主体的な関係性を質的に記述する。2.先行研究で明らかにされている“高齢者の主体性を支援するための看護者のかかわり方の評価指標”の項目を基に、実用性および信用性の観点から項目を追加、修正を行い、評価指標を洗練する。という2つの目的を設定し、病院で老年看護に従事する中堅以上の看護師3名にそれぞれ約60分程度の半構成インタビューを実施した。現在、研究目的に沿って分析を進めているところである。 またこの他に本年度は、入院している高齢者の主体的な療養生活を支援することに関連した医療現場の課題と対策について先行研究の結果を整理した。その結果、【言葉で主張されない高齢者の意思をくみ取るスキルの共有】、【高齢者像の偏りに陥らないためのかかわりの継続】、【高齢者の主体性の固定されたイメージ】、【高齢者本人を基準として真意を理解する試み】、【立場の違いから対応が難しい高齢者への対応の必要性】、【看護師側の見方やかかわり方の意識化】、【業務に縛られない関係性の看護師への恩恵】の7つの課題が示された。平成25年度は、これらの課題および、これまでの文献検討の結果から、作成する評価ツールの臨床現場における活用方法および意義について引き続き検討を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度まで育児休業等を取得した影響もあり、研究を断続的に行わざるを得ない状況にあり研究の進行がやや遅れ気味であったが、今年度は最終的な調査研究の倫理審査申請およびデータ収集、データ整理と順調に進行しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、現在行っている分析を引き続き行い、①高齢者の主体的ケアニーズをくみ取るための基盤となる看護師と高齢者の相互主体的な関係性、②“反応が乏しいように見え、意思表示をとらえにくい高齢者”の主体的ケアニーズをくみ取るためのかかわりを看護師自身が評価するための評価指標、の2点を明らかに、これまでの文献検討果および先行研究の知見と統合して最終年度として研究結果をまとめる予定である。 前述したように、最終的な調査研究は概ね順調に経過しているが、質的な分析に時間を要すること、および5月から7月初めまで業務により学外に出て隣地での教育に従事するため、分析のためにまとまった時間を確保することが難しい状況が予想されている。この点について、倫理的に配慮した上でデータ整理(逐語録の作成など)等について、業者に委託したり、学生の夏季休暇中の時間を計画的かつ有意義に活用して研究活動を計画的に行っていく計画である。時間的スケジュールは概ね以下を予定している。 4~5月:データ整理、6~8月:データ分析・分析結果のスーパーバイズ、9~10月:研究結果のまとめ、先行研究との知見の統合・考察、11~翌3月:研究結果公表にむけた準備、研究実績報告書作成
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